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Collection

2018.02.08

東京コレクションのビューティー・キーワード<1> 

文/花椿編集室

写真/細倉 真弓

2018年春夏東京コレクションから挙げるトレンドキーワードは、「透明感」、「パフィーなディテール」、「進化するレイヤード」。YOHEI OHNOやAKIKOAOKIなどの若手ブランドを筆頭に、春夏シーズンのさわやかなムードを、ビニールやシアーな素材、細部の仕立てをシャーリングやパフスリーブなどを用いて軽やかに演出する傾向が見られた。DRESSEDUNDRESSEDがランジェリーを重ねたような繊細なレイヤードを披露したように、多くのブランドで多様なレイヤードを提案したことは今の東京のムードを表す証でもある。

そんな今シーズンのメイクアップは、ナチュラルなムードが継続。ファッションのシーンでは洋服との最適なバランスを探ってメイクアップを引き気味に調整、つまりナチュラルに仕上げることが多いけれども、そこで完全に何もしないのではなく、どこかひとつ山場を作ることはトレンドメイクの中では欠かせない要素。はっと目に留まるようなドラマティックなポイントを作ることで、スタイルもぐっと鮮明に。今シーズンの東京コレクションで見つけた、ワンポイントメイクアップをご紹介!

YOHEI OHNO

ハイライトを日常の主役に
タイトなIラインのスタイルを基調に、メッシュやエナメル加工などさまざまな素材感が楽しめるコレクションを発表したYOHEI OHNO。モノトーンやネイビーなどシックな色味に加え、鮮やかなイエローやレッド、ポルカドットを差込み、変形したパフスリーブやシルエットにオリジナリティを加えるロープのディテールなどをアクセントに軽やかなスタイリングを披露した。ラグビーボールにも似たユニークな形のバッグやアルファベットのワードが踊るビックサイズのブーツとグローブなど、遊び心あるアクセサリーにも春夏のポップなムードが満ちている。

メイクアップのポイントは、ハイライト。目じり周りのCゾーンにベージュ、その上から白色をさらに重ねて塗布。光の焦点を目元にあて、さっぱりとしたスタイルの中につややかな目元を演出した。一見応用が難しそうなハイライトだが、このように重ねづけをすればいつものメイクに新しい奥行きが出てくる。

アイシャドウ、アイブローなど様々な用途で使える資生堂 プレイリスト インスタントアイコンプリート マルチプルカラーをハイライトとして使用。Cゾーンにやさしく塗布。
メイクのチーフを務めた贄田 愛(資生堂ヘア&メイクアップアーティスト)
バックステージより
バックステージより
ゆるく束ねたり流したり、ヘアスタイリングはナチュラルに
ランウェイより

THE 90s!な海老茶色のリップ
先シーズン、アートとスポーツをテーマに掲げて華やかなコレクションを披露したHIROKO KOSHINOは今季もそのムードは継続しながら、“リバース(巻き戻し、再生)”をテーマに、その象徴として綿毛が新たな命を宿すタンポポをモチーフにしたパターンやバリエーションのある縞模様を用いたグラフィカルな要素、ジャポニズムのムードをプラス。オーバーサイズのシルエットに軽快なスニーカーを合わせファッションの楽しさを表現した。

メイクアップは歌舞伎の隈取のように、色とラインで目元にアクセントをつけた。しかし、今回紹介したいのは大胆な目元ではなく、さりげなくくちびるに忍ばせた海老茶色のリップのほう。海老茶色リップは90年代に流行したアイテムで、数年前から続く90年代リバイバルが今、リップまで到達したという印象も。つけてみれば意外になじみやすい海老茶色リップ。90年代のモードの趣をカジュアルに楽しみたい。

カラーバリエーションが豊富な資生堂 プレイリスト インスタントリップコンプリート マット(色番:BRg39)を使用。(※ブラシはアーティスト私物)
メイクのチーフ、鈴木 節子(資生堂ヘア&メイクアップアーティスト)
バックステージより
ランウェイより

細倉 真弓

写真家

東京/京都在住
触覚的な視覚を軸に、身体や性、人と人工物、有機物と無機物など、移り変わっていく境界線を写真と映像で扱う。立命館大学文学部、及び日本大学芸術学部写真学科卒業。写真集に「NEW SKIN」(2020年、MACK)、「Jubilee」(2017年、artbeat publishers)、「transparency is the new mystery」(2016年、MACK)など。
http://hosokuramayumi.com