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SHISEIDO MUSEUM

2020.06.30

【特別企画】SHISEIDO MUSEUM #10 「資生堂化粧品」

資生堂が時代時代にお送りしてきた広告作品、そのクリエイションにこめられた“美”のストーリーを紹介する本誌企画「SHISEIDO MUSEUM」。特別企画として、こちらでバックナンバーをご紹介します。資生堂が広告をとおして提案してきた、未来へ向けての希望のメッセージを感じていただけたら幸いです

「資生堂化粧品」(1955年)
ポスター/Designer: 山名 文夫

 このポスターは1955年の山名文夫デザインによる広告作品です。鮮やかで軽やかな色彩と洗練されたグラフィックデザインで表現された髪型、凜として気品のある女性の横顔が印象的なこのポスターは、モノクローム作品の多い山名文夫の広告作品の中でもひときわ華やかな美しさで見るものを魅了します。
 今年2020年に没後40年を迎える山名文夫(1897-1980)は、資生堂に長期間にわたって深い関わりのあったデザイナーであると共にグラフィックデザインにおける資生堂スタイルの確立に最も貢献したデザイナーでもあります。
 山名文夫が初めて資生堂意匠部(現クリエイティブ本部)部員となった1929年当時、意匠部は銀座7丁目の角(現在の「SHISEIDO THE STORE」の位置)に前年完成したばかりの資生堂化粧品部の建物の中にあり、以来彼の多くの広告作品は銀座で生まれました。
 山名文夫の愛した銀座という街のもつ新しさと懐かしさの共存した優雅・洗練・モダンというイメージは、彼の広告作品のもつイメージと重なるものがあるようです。

文/丸毛 敏行(資生堂 社会価値創造本部)