資生堂が時代時代にお送りしてきた広告作品、そのクリエイションにこめられた“美”のストーリーを紹介する本誌企画「SHISEIDO MUSEUM」。自粛期間特別企画として、こちらでバックナンバーをご紹介します。資生堂が広告をとおして提案してきた、未来へ向けての希望のメッセージを感じていただけたら幸いです。
「資生堂の香り・スーリール」
(SHISEIDO FRAGRANCE COLLECTION 7 若草通り)
この広告は「SHISEIDO FRAGRANCE COLLECTION」のシリーズ広告のひとつとして1981年に発表されました。
香水スーリールの「スーリール(sourire)」とはフランス語で、「笑う、にこにこする」という意味です。「南むきの性格が、彼女の日常を、明るいものにしています。」というコピーや透明で軽やかな色彩と相まって見るものにユーモラスな印象を与え、スーリールという香水の持つ爽やかな香りを感じさせてくれるようです。
当時資生堂宣伝部のデザイナーであった太田和彦氏はこの広告について、「香りシリーズ4年目は、再び商品を画面に取り入れたが、認知できる極限の小さな扱いで、『商品はどこにあるでしょうシリーズ』とからかわれた。『そこにある香水が空間を支配する』がテーマであるが、資生堂フレグランスの瀟洒なボトルデザインは、どう扱っても堂々たる主役の存在感をもち、写真的にたいへん心強かった」と語っています。
香水の広告というイメージに流されることのない、小粋なペンギンとミュージシャンの組み合わせが見るものに新鮮な印象を残す広告です。
文/丸毛 敏行(資生堂 社会価値創造本部)