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Collection

2016.11.11

東京コレクションレポート Vol.9 beautiful people

写真/細倉 真弓

文/花椿編集室

“日本ラストショー”“次シーズンからパリへ”……東京コレクションショー後のニュースにはこんな見出しが躍ったbeautiful people。

熊切秀典(デザイナー)、戸田昌良(パタンナー)、若林祐介(セールスプロモーション)、米タミオ(企画生産)の4人でデザイン活動を行い、ボーイズ、キッズサイズのアイテムを大人の女性が着られるスタイルとして提案している。そのコンセプトのもとに作られたトラディショナルなアイテムも大人気で、ずっと愛用したい1着としてbeautiful peopleのライダースやトレンチコートを上げる人も多い。

パリ進出前の日本最後のコレクションとなった2017 春夏のテーマは「Do it ourselves(自分たちでやってみよう)」。Dave Brubeckなどのジャズ音楽にのせたハッピーなショーは、可憐な少女のような雰囲気と大人でエレガントな表情のふたつを同時に演出していた。

トラッドをベースとしたスタイルに、優雅なシルエットと優しい素材でスタイリッシュな感覚をプラスしたウェア。面白かったのは、デザイナーの熊切氏にちなんでクマのモチーフが随所に散りばめられていたこと。ライダーズを着たティディベアのチェーンバッグやカギ爪をあしらったサンダルなど、大人の少女心をくすぐる仕掛けがたくさん感じられた。そして、ショーの最後には、クマの姿になったメンバーの生バンド演奏も行われた。

バックステージでのクマ姿の熊切氏(写真/花椿編集室)
生演奏の様子(写真/花椿編集室)
メンズラインもクリーンでキュート。

ヘア&メーキャップアーティスト豊田健治(SHISEIDO)がチーフを務めたコレクションメークは、ナチュラルでフレッシュそしてどこかイノセント。リアルクローズでも真似したいカラーや質感使いが溢れている。

モデルの個性を生かしたメークは、肌の質感やシャドー、リップのポイントに特徴を効かせ、全体をbeautiful peopleの世界観にリンクさせていた。そのピュアさと色っぽさのバランスがウェアを味わい深く魅せていたように思う。

高揚感あふれるメークをパーツごとに見てみると、特に目を引くのが、滲み赤リップ。ワントーン明るめの赤は、血色感があり強い色でも肌に馴染むので、表情がぱっと明るくなる。そしてアイシャドーは、オレンジブラウン。質感は、マットではなく、シアー感があるものをチョイス。陰影をつけることで、目元を優しく、そして無難な色に収まらないことで、今らしいハイセンスな顔立ちに仕上げている。肌は艶のある健康的で透明感のあるタッチ。人工的ではなく、自然の肌を生かしたような軽い質感に仕上げ、大人のピュアさを感じさせていた。

ヘアについては、自然なウェーブを生かしたエアリーヘア、ゆるめのカーリーヘア、(かつてのソバージュより自然でクセ毛っぽさが強い感じ)、ミニマムなストレートの3パターン。どれも、柔らかで爽やかで、イノセントな遊び心を象徴しているかのようなスタイル。ブランドのファッションにもマッチしていた。

常に新しさを提案してくれる同ブランド。“どこにでもあるけれど、どこにもないものを作っていくこと”のブランド精神を活躍の場をパリに移して、どう見せくれるのか今後が楽しみだ。

(花椿編集室 渡部彩)

アイシャドーはシアーな輝きで立体感を
チーフを務めた豊田氏
ショーで使用したコスメアイテム

細倉 真弓

写真家

東京/京都在住
触覚的な視覚を軸に、身体や性、人と人工物、有機物と無機物など、移り変わっていく境界線を写真と映像で扱う。立命館大学文学部、及び日本大学芸術学部写真学科卒業。写真集に「NEW SKIN」(2020年、MACK)、「Jubilee」(2017年、artbeat publishers)、「transparency is the new mystery」(2016年、MACK)など。
http://hosokuramayumi.com