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Collection

2016.10.29

東京コレクション Vol.07 DRESSEDUNDRESSED

写真/三宅 英正

文/花椿編集室

「違和感が人を惹きつける」、DRESSEDUNDRESSEDのショーを見てそう感じた。



男性的で女性的、曲線的で直線的、ラグジュアリーでストリート、ボリューミーでフィット、貞淑でセクシー、相反する要素が共存していたコレクション。こうであるはずだろうという予想をいい意味で裏切る、そのずれが心地よく感じるようなデザインはエレガントで、とても美しかった。



2006年、セレクトショップ「CANDY」で出会い、09年に当ブランドを設立。プライベートでは夫婦でもある北澤武志と佐藤絵美子が手がけるDRESSEDUNDRESSED。13年には、ロンドン・ ファッションウィーク会期中に開催された「インターナショナル・ウールマーク・プライズ」のファイナリストとなり、世界の6ブランドのひとつに選出された。また、同年度、第5回「DHL デザイナーアワード」を受賞。これから、日本のみならず、海外での活躍を期待されるブランドだ。

めがねはMYKITA,BERLINとのコラボレーション。写真のツーブリッジのほかにもラウンドタイプも。
シャツとシャツのレイヤード。ストリートキャップの合わせも上品に。

2017春夏のテーマは「Community」。“モーレス”“モラル”“マナー”の3つのキーワードを軸に展開されたコレクションは、知的でクリーンな雰囲気を醸しつつも、目を惹き付けられるのが、デフォルメされたデザイン。極端に長くボリュームのある袖や丈、長め丈のスカートに大胆に入るスリットラインなど、ミニマルなデザインの中に光るユニークさも際立っていた。スタイリングでは、同じ素材のシャツとシャツのレイヤードやレーシーなワンピースにパンツの合わせやストッキングソックスなど、品の良さに遊び心のエッセンスが加わっている(めがね、キャップ使いも可愛い)。

ヘア&メーキャップのチーフは、ヘアは豊田健治(SHISEIDO)、メークは渋沢知美(SHISEIDO)が務めた。ヘアは“神経質な人”っぽさをイメージしてつくられた、なでつけたようなヘアスタイル。きっちりときれいに分け目をつけるのではなく、不完全なセンター分けにし、その飾り気のなさがウェアとも相性が良い。
 


メークは素材を生かしたナチュラルメーク。作り込みすぎず、モデルの個性を引き出すことに徹している。肌の質感も、ツヤでもマットでもない、いわばノーメークかのような演出。アイブロウやリップも強さを出さず、モデルの顔立ちに合わせナチュラルに仕上げている。メイク感を一切削ぎ落としたようなメイクは、素のまなざしの強さを感じさせ、かえってセクシーに見える。ネイルはストッキングベージュでニュートラルな雰囲気に。春夏ネイルにベージュという選択も新鮮だった。

今回のコレクションは、ブランドの特徴である日本の簡素美を感じさせるようなカッティングやデザインが強調され、インテリジェンスでどこかエレガントな雰囲気。ウェアもヘア&メークもただのシンプルではなく、枯淡さを感じさせながら今のムードをくみ上げている。ユニセックスでミニマリズム、この根本のブランド意思はそのままに、ウィメンズ、メンズともに、男性らしさと女性らしさを共存させることで、色気を感じさせているウェアの数々から、ブランドの進化をみてととることができた。

(花椿編集室 渡部)

メークチーフを務めた渋沢氏
使用されたプレイリストのアイテム

三宅 英正

写真家

1986年岐阜県出身。08年よりフォトグラファーとしてイメージビジュアルの制作やドキュメンタリーの撮影に携わる。近年ではコラボレーションワークとしプロダクトを制作したり、企画のプランニングを手掛けるなど活動の幅を広げる。