かつて『花椿』が実際に放送していた音楽企画、「花椿アワー」。約60年の時を経て、こちらの『花椿』ウェブで復活、装い新たに連載中です。パーソナリティを務めるのは、古今東西あらゆる音楽を聞き知るDJ、トーフビーツさん。毎回美容に関するキーワードをテーマに、ラジオ風ストリーミングをお送りしています。
9月のテーマは「Camp(キャンプ)な音楽」です。「Camp」は両義的なことばで、アウトドアを楽しむレジャーとしての「キャンプ」と、美意識的な意味での “Camp”、というふたつの意味があります。人工的なもの・大胆で大げさなもの・両性具有なもの、などと定義される美意識的な意味での “Camp”は近年、2019年にメトロポリタン美術館で企画展が行われるなど再評価の兆しがあり、多様性の受容の観点から、美意識の一例として注目を集めています。“Camp”的感覚を体現するアーティストやドラァグ・クイーンなどに見られる、ときに力強く華やかな“Camp”な美意識は、アフター・コロナの不安が残る中で希望を与えてくれるものとしてますます大事な価値観になってくるのではと思います。
そして、このコロナ禍をめぐる社会的背景でつながるのが、一方のアウトドアの「キャンプ」です。キャンプは密を避けるための手段として人気を集め、家族や友人と過ごすだけでなく「ソロキャンプ」と呼ばれる一人で行くものもトレンドのようです。このソロキャンプから連想されるのがアメリカの作家、H.D.ソローです。マサチューセッツ州の都会からウォールデン池のほとりの森へたったひとりで移住し、自ら家を建て、野菜を育て暮らしたソローは自著『ウォールデン 森の生活』に自給自足の日々を書き残しています。森へ行った理由を、「思慮深く生き、人生の本質的な事実のみに直面し、人生が教えてくれるものを自分が学び取れるかどうかを確かめてみたかったから」(同書岩波文庫刊より引用)と記したソロー。孤独を味わいながら自然の慈しみに触れ、生きる実感を得たソローの森の生活でしたが、コロナ禍で自粛生活を余儀なくされた今年、ソローの思想にはこれからを生きるうえでたくさんの気づきがありそうです。ソローの生活をほんの少し疑似体験するように、大自然に触れ、自然や自身の声に耳を澄ますことができるキャンプ。とくに秋は紅葉も美しく、きっとすばらしい体験になりそうです。道中のドライブにもぴったりのミックスです。どうぞお楽しみください!
<ストリーミング配信は終了しました>
- tofubeats - RIVER (tofubeats remix)
- TONAN - Yours feat. Campanella & ERA
- FISHMANS - すばらしくてNICE CHOICE
- ECD - Summer Madness (Barbecue remix)
- Christine and the Queens - 5 Dollars
- vulfpeck - Birds of a Feather, We Rock Together (feat. Antwaun Stanley)