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FASHION STORY

2022.12.20

UPDATE FASHION vol.00 現代に漂う“豊かさ”- 築山礁太

写真/築山 礁太

過渡期であるいま、時代の“豊かさ” を映すファッションは何を表しているのでしょうか?

ファッション新連載「UPDATE FASHION」は、現代のファッションをさまざまな角度で捉えようとする試みです。そのプロローグ vol.00としてお送りするのは、「現代のファッション観」についての考察。時代時代に変わりゆくファッションの価値観、その現在の姿を、アーティストコレクティブCulture Centreに参加する作家の作品を通して考察していきます。今回は築山礁太さんの作品をご紹介します。

ゆれる時代、捉えどころのないファッションという名の現象を探して。

 

道の先に遠くを見ている二人の女性がいる。
なんでもない景色をずっと見ている。
通り過ぎ振り返ってもまだ見ていた。

日頃イメージを見ることに慣れてしまった僕らは、自分の目の前のものを知識や経験から来る何かに当てはめて文章を読むようして認識している気がする。立ち止まって見なくても大体のことはわかってしまうのだ。

“見る”と“認識”

同じように目を使うが使い方が違う気がした。僕が既に認識していた景色をあの二人はずっと見ていた。と不思議な気持ちになりながら最近立ち止まって何かを見つめていないことに気付かされた。

―築山 礁太(『Misato』より)

 

 

築山 礁太
写真家。1997年東京生まれ。2019年日本写真芸術専門学校卒業。TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH や Culture Centre のメンバーとしても活動。劣化・変質した記憶の定着を試みた 「matrix」をはじめ、恋人という私写真的なモチーフを撮影し、 写真メディウムに物理 的な操作を行った実験的な作品を制作してきた。また近年は見ることへの関心から立体的なアプローチを取り入れた作品を制作するなど、平面や立体などの様々な形態を横断しながら写真作品の制作を行っている。主な近作として『matrix』 (「ENCOUNTERS」ANB TOKYO, 東京, 2020) 、『Wall of ○○』(「constellation #02」rin art association, 高崎, 2021) 、『しゃしん』 (「P.O.N.D」 PARCO MUSEUM TOKYO, 東京, 2021)、『平行植物』 (philcontemporary, 東京, 2021)、『viewpoint』 (『YAU TEN』 YAU STUDIO, 東京, 2022) 。