FASHION STORY
2023.01.10
UPDATE FASHION vol.00 現代に漂う“豊かさ”- 池崎一世
写真/池崎 一世
過渡期であるいま、時代の“豊かさ” を映すファッションは何を表しているのでしょうか?
ファッション新連載「UPDATE FASHION」は、現代のファッションをさまざまな角度で捉えようとする試みです。そのプロローグ vol.00としてお送りするのは、「現代のファッション観」についての考察。時代時代に変わりゆくファッションの価値観、その現在の姿を、アーティストコレクティブCulture Centreに参加する作家の作品を通して考察していきます。今回は池崎一世さんの作品をご紹介します。
ゆれる時代、捉えどころのないファッションという名の現象を探して。
原色のセロファンをネガにかぶせてスキャンすると、ネガの色再現の規則性に基づいて色は反転して現れる、同じように人間の現実も、規則性や生まれてから積み上げられてきた経験、社会の約束などにしたがって目の前の事物を解釈しているもので、それらはあくまで脳内で生成され続けるイメージであり、事物の実態に人はアクセスすることが出来ないそうだ。
リモートやAI、仮想空間などの新しい技術や科学的なものさしが日常生活へ浸透するとともに、人間の身体や場所の感覚も変化し、人間という存在の輪郭がぼやけてあいまい化してきているような気がする。人間の意識がすっかり解明されて謎がなくなっても、人間はまだ人間でいられるのだろうか? 別に人間であり続けることにこだわる必要もないけれど、感じるこころや記憶が人間らしさだとしたら、写真の中の服はそんなものであってほしいと思う。
―池崎 一世
池崎 一世
女子美術大学絵画科卒。ニューヨーク市立大学ラガーディアコミュニティーカレッジ メンタルヘルス科卒。第5回写真1_WALL ファイナリスト。2022年The Second Stage at GG #52 池崎一世・佐藤麻優子・染井冴香展「whreissheus」ガーディアン・ガーデン(東京)。