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Column

2018.05.10

世界サウナ紀行  Vol.1 Destination : Japan

文/大智由実子

イラスト/ほりゆりこ

花椿をご覧のみなさま、はじめまして。
 私はMARGINAL PRESSという屋号でこれまで世界中の一癖も二癖もあるようなアート本やインディペンデントマガジンを日本に紹介する仕事をしてきたのですが、今月から花椿でサウナの連載を書かせてもらうことになりました。どうぞよろしくお願いします。 
「…っておいおい! なんでいきなりアート・カルチャー(しかもゴリゴリのインディー系)がいきなりサウナなんだよ!」というツッコミの声が聞こえてきたので簡単に説明させていただきますと、一昨年の夏に親友から誘われるがままに行ったサウナで見事にサウナにはまり、その後その親友といきなりサウナの本場フィンランドとバルト三国(エストニア、リトアニア、ラトビア)にサウナに入るためだけの旅に出かけ、その後も北米やドイツでさまざまなサウナ体験をして、気がつけば出会う人にサウナのよさ、面白さを宗教の布教活動のように説き、世界の雑誌についてのコラム原稿の依頼にきた花椿の編集者の方にもサウナの話ばかりして、しまいには「サウナについて書かせてください!」と懇願するような面倒くさい私に手を焼いた編集者の方が、ついにその機会を与えてくださったのでした。という訳で、これから毎月私が体験してきた世界のさまざまなサウナのお話を書かせてもらいますのどうぞよろしくお願いします。
 まず、「サウナ!? あんなのオッサンが行くところでしょ?」とか「えー、私、サウナって暑苦しくてムリ!」という方も多くいらっしゃると思いますが、安心してください。私も最初はそうでした。そう、一度あの快感を味わうまでは……。友人から基本となる「サウナ→水風呂→休憩」というお作法を教わり実践してみたところ、休憩中にこれまで体験したことのないような不思議な恍惚感におそわれたのです。一度この恍惚感(サウナ界ではこのようなニルヴァーナ状態を「ととのう」と呼びます)を味わってしまうともうその感覚を味わいたいがために、サウナ室の暑さも水風呂の冷たさも全て美味しいメインディッシュのための前菜のようになり、全く苦にならないどころか気持ちよくなってくるのです。もはや中毒です。
 サウナにはまってからはお肌の調子がよくなったり肩こりが改善されたり、そして何より気分がスッキリして心身ともにいいことずくめなのは確かなのですが、中毒になるとむしろそれらの健康効果がおまけのようなものになってしまうことがおそろしいところです。
 サウナ未体験の方に私がここでとうとうとサウナのよさを語るとまだまだ時間を要してしまうので、入り方や効能については『はじめてのサウナ』(リトルモア刊)という本をオススメしたく思います。こちらの本はマンガ家でありサウナ大使でもあるタナカカツキさん(ちなみに私のサウナ師匠でもあります)が文章を書き、「Tent Sauna Party」というイベントの主宰メンバーでありご自身もサウナー(※サウナ愛好家の人をこう呼びます)のほりゆりこさんがイラストを描いた、サウナ初心者の方に向けた絵本のようなやさしくてためになる指南書なのです。

 そして『はじめてのサウナ』を読んでサウナに入ってみたくなった貴方。いきなりフィンランドに行く必要はないですよ! だって実は日本もサウナ先進国で、さらにここ1年くらいの間で新しいサウナ施設がオープンしたりリニューアルしたりして、本格的かつ女性に優しい施設も増えてきているのです。そんな訳で第1回の旅行記の舞台は日本です。日本のスパ施設でビギナーの方でも行きやすく、かつ本格的なサウナを体験できるところをご紹介しますね。

■東京ドーム天然温泉 スパ ラクーア(東京都文京区)
東京ドームのすぐ横にあって天然温泉が楽しめるスパ ラクーアでは女性は3種類のサウナが体験できます。中でもオススメは露天風呂の隣に新しくできたフィンランドサウナ「ヤルヴィ」! ほんのりアロマが香るサウナ室内はテレビが無くうす暗くて静かでとても落ち着きます。しかもここはサウナストーンにアロマ水をかけて蒸気を発生させ、室内の湿度を調整する「ロウリュ」ができる貴重なサウナ。本場フィンランドではサウナでロウリュができるのが当たり前なのですが、日本ではサウナストーンに水をかけることを禁止している施設がほとんどなので、実はこのロウリュが自分でできるサウナというのはまだ数少ないのです。ここスパラクーアのヤルヴィは本場フィンランド式サウナを都心で体験できるのでオススメです。

住所:東京都文京区春日1-1-1 ラクーアビル(フロント6F)
TEL:03-3817-4173
時間:11:00〜翌9:00(※最終入館8:00)
料金:大人(18歳以上)¥2,850 6〜17歳¥2,052 (税込、※0〜5歳の入館不可)
https://www.laqua.jp/spa/

■スカイスパYOKOHAMA(神奈川県横浜市)
横浜駅直結のビルにあるスパ&サウナの施設。ここの女性サウナ室は小さいながらも温度や湿度のコンディションが丁度よく、ビギナーの方でもトライしやすいです。何を隠そう私のサウナデビューもここでした。14階にあるのでサウナ室の窓から外の景色をぼんやりと見ながらゆったりとした時間が過ごせます。こちらは定期的にスタッフの方が「ロウリュ」をしてうちわで熱風を送ってくれる「アウフグース」というサービスもやっていてそこもオススメです。

住所:神奈川県横浜市西区高島2-19-12 スカイビル14F
(“横浜そごう”横、“マルイシティ横浜”同ビル14F)
TEL:045-461-1126
時間:10:30〜翌9:00(※浴室の利用は8:30まで)
料金:ベーシックプラン¥2,370(税込)
http://www.skyspa.co.jp

■サウナラボ(愛知県名古屋市)
こちらも名古屋の繁華街のビルの中にあるサウナ施設なのですが、ビルの中にいるということを忘れさせるどころか、日本にいることすら忘れさせるようなサウナ施設。一歩足を踏み入れるとそこはもうフィンランド! サウナ室が本格的フィンランド仕様なのは言わずもがな、隣にはフィンランド北端のラップランドの冬の外気を疑似体験できるアイスサウナもあり、さらにビルの中で焚き火をしてソーセージなどを焼いて食べたりできて、フィンランド人のサウナの楽しみ方がそのまま日本で体験できちゃう!しかもビルの中で!というとんでもない施設なのです。東京から新幹線で名古屋までサウナに入りに行くのも、フィンランドまで行く旅費を考えたら安いものです。

住所:愛知県名古屋市中区栄3‐9-22 グランドビル8F
TEL:052-238-2131
料金:完全予約制 2時間¥2,700(女性限定)、3時間貸切 1人/¥3,700(税込)
http://saunalab.jp

どうでしょう?疲れもストレスも溜まりに溜まったそこの貴方! 体験してみたくなったらぜひこの週末にサウナに行ってみてくださいね。

大智由実子

ライター

洋書のディストリビューションを行うMARGINAL PRESSを立ち上げ、世界各国のインディペンデントマガジンやアートブックを日本に紹介。2016年よりサウナの魅力にはまる。趣味は世界のサウナ巡り。サウナ・スパ健康アドバイザーの資格も持つ。
https://www.marginal-press.com/

ほりゆりこ

イラストレーター

1978年大阪生まれ。デザインやイラストの本職のかたわら「大自然と一体化」をテーマに主に関西を拠点に活動するTent Sauna Partyに所属。著書にタナカカツキ(日本サウナ・スパ協会公認)との共著『はじめてのサウナ』がある。また、リトアニアのサウナハットアーティスト、ヴィクトリアからワークショップを受け「TSP式サウナハット」を考案・制作。お気に入りのサウナは「延羽の湯・鶴橋店」
http://tentsaunaparty.com/