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Column

2024.03.07

TOKYO ART BOOK FAIR 2023レポート

写真/吉川周作

TOKYO ART BOOK FAIR 2023は、2023年11月23日から26日までの4日間、東京都現代美術館で開催されました。初日から入場規制が必要となるほどの盛況ぶりで、国内外から約300組の出版社、ギャラリー、アーティストたちが集まり、独創的なアートブックを展示しました。このイベントは、アートブックというメディアの表現の可能性を見せてくれる場でもあります。

花椿は、23年のゲストカントリーであるノルウェーから招かれたパブリッシャーで編集者のエリス・バイ・オルセンさんとともに、タブロイドを制作しました。このプロジェクトは、花椿のアーカイブをリサーチすることで、過去と現在をつなぐ試みです。また、エリスさんがディレクターを務めるファッションリサーチ国際図書館から着想し、今回のブースではその図書館の雰囲気を再現しました。

会期初日には、エリスさんと衣服標本家、長谷川彰良さんが”アーカイブ”を基にしたクリエーションについてのトークイベントを行いました。当日、長谷川さんのコレクションの1つである100年以上前の衣服標本も展示し、実際に手を取り、過去の魅力に触れる貴重な機会となりました。

タブロイド制作のためにエリスさんは1937年~現在にいたるまでの花椿に目を通し、その前衛的で時代を超越した美的感覚に深く感銘を受けたと語ってくれました。エディターズレターで彼女が記したことばから、花椿への深い考察がうかがえます。

「歴代の編集たちが編んだ『花椿』にはさまざまなフォーマット、製本、素材、手ざわりが混在しているけれど、その精神はいつの時代も一貫している。美しさ全般に対する、オルタナティブで野心的な探究だ。つまり、人間の中に、あるいは動物や風景の中に、ひいてはこの世界のあらゆるものの中にある美しさに光を当てているのだ」

慣れ親しんだアーカイブを新たな視点でリサーチすることで生まれた気づきは、私たちが今日、そして未来に向けて、花椿が紡いできた”美”への思いを引き継ぎ、継承していくことの重要性を改めて実感させてくれました。

 

<タブロイド>
タイトル:「花椿 Tribute to the Archive」
ゲストディタ―:エリス・バイ・オルセン(パブリッシャー/編集者)
執筆者:平山景子(『花椿』元編集長)
    イエッペ・ウゲルヴィグ(歴史家/キュレーター)
写真:エイナー・フグレム(フォトグラファー)
翻訳:平岩壮語(編集者/ライター)
デザイン:garden inc.
※会場限定配布

<トークイベント>
タイトル:「From the Archives: アーカイブからのクリエーション 」
登壇者:エリス・バイ・オルセン(パブリッシャー/編集者)
    長谷川 彰良(衣服標本家)
    塚田優子(株式会社資生堂 花椿編集室/進行)

吉川周作

フォトグラファー

1991年富山県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。雑誌、ファッションブランドを中心としたコミッションワークの傍ら、ジンや作品集などの制作を行う。
またパブリッシャー「L AND C」において、アーティストブックの編集/撮影などを担当。
主な展示に「elevation」 (2017, INS Studio)、 「Common Face 」(2023, Studio Staff Only) など。
https://shusakuyoshikawa.com/
https://www.instagram.com/shusaku_yoshikawa/