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Collection

2016.10.21

東京コレクション Vol.03 YUKI TORII INTERNATIONAL

写真/三宅 英正

文/花椿編集室

19歳で作品を発表、32歳でパリに進出。1975年のパリコレデビュー以後40年以上コレクションを発表し続け、第一線を走り続ける草分け的存在のデザイナー鳥居ユキ。彼女が手がけるYUKI TORII INTERNATIONAL の2017年春夏コレクションは、パリのパサージュを背景に優雅にスタートした。

今季のテーマ「-花に魅かれて–Race on Race」が物語るように、トレンチ、デニム、ストライプなどの随所にレースが用いられ、ルック全体に女性らしさを加えている。ほかにもシフォンや花をかたどったシアーなど、飛躍感のある素材使いも目を引いた。

モノトーンのルックだけでなく、カジュアルテイストなミリタリーや鮮やかな色の組み合わせも、ブランドらしい、洗練された華やかさで魅せていく。

ファッションにあわせたメークのクリエーションは、SHISEIDOヘア&メーキャップ アーティスト砂川恵子(SHISEIDO)、ヘアは篠塚豊良(SHISEIDO)が手掛ける。フレッシュさを残しながも、知的でエレガントなヘアメークがコレクションにムードを添えた。

ヘアはゆるめのウェーブを出し、耳後ろでまとめたハーフアップスタイルで少し甘さを感じる仕上がりに。逆にメークは、甘さを抑えて涼しげな印象。目元は、ブルーのクリームアイカラーをベースにグレーのグラデーションで引き締め、グレーを少し入れることでクリアな透明感が生まれている。チークは肌馴染みのいいレッドブラウンとライトローズの2色使い。重くなりすぎないスモーキーで落ち着いた大人のイメージのメークが完成している。

YUKI TORII INTERNATIONAL を着ている層は20代~80代と幅が広い。今回のコレクションも、年齢に縛られることない、「毎日を心地の良くするデザインを」というブランドの精神性を感じさせるものだった。

ブランドスタート以来、100回以上のコレクションを経験する鳥居氏。常に時代の流れを掴みながら、半世紀以上にわたってファッションの最前線を走り続ける彼女の生き方そのものに、ブランドのスタイルが体現されていると感じるショーだった。

(花椿編集室 渡部彩)

三宅 英正

写真家

1986年岐阜県出身。08年よりフォトグラファーとしてイメージビジュアルの制作やドキュメンタリーの撮影に携わる。近年ではコラボレーションワークとしプロダクトを制作したり、企画のプランニングを手掛けるなど活動の幅を広げる。