次の記事 前の記事

Collection

2016.10.20

東京コレクションレポート Vol.02 THEATRE PRODUCTS

写真/細倉 真弓

文/花椿編集室

「ある人にとっては不要なものでゴミかもしれないが、ある人から見ると宝物にもみえる」



2017年春夏のTHEATRE PRODUCTは、「GOLD MINE(ゴミの山は誰にとっても宝の山)」がテーマ。モデルとマネキンが混在するインスタレーション形式での発表となった。



会場には、民族音楽を彷彿とさせる陽気な音楽が流れ「いつの時代のどこの国から流れ着いたのか、気流や潮に流されて集まってくる漂流物のマーケット」を思わせる空間が演出された。

アフリカや中東を彷彿とさせるマテリアルを使い、ヒンドゥー文字やアジアのどこかの民族モチーフを取り入れたコレクションは、色鮮やかな色彩と素材が溢れるなかで、ゴールド、ブラック、ホワイトをアクセントを効かせ、異国的な雰囲気に包まれていた。



漂流物からインスピレーションを受けたというアクセサリー、バックの小物使いは、猫のテレホンカードのピアスを装着したり、漂着したゴミ、スモーキーマウンテンから拾ってきたという見立てのバッグを頭にのせたりなどユニークで、今回のコレクションテーマを感じることができる。

“ 新プリミティブ ” を打ちだした今回のメークを担当するのはヘア&メメーキャップアーティスト渋沢知美(SHISEIDO)、ヘアを担当するのは豊田健治(SHISEIDO)

メークは全体に色味を使わず、ナチュラルに仕上げながら、細部に可愛らしさやキッチュさを取り入れることで、新鮮な印象を与えている。特に、印象的なのはホワイトのマスカラ使いだ。モデルのみならず、マネキンにもすべてホワイトのまつ毛が施されていた。

ヘアは、プリミティブなムードを今らしく打ち出したスタイル。大きなヘアピンをポイントにしたり、ムスリム風ヒジャブ・ドレスを頭に乗せるなど、ユニークな発想でスタイリングの幅が広がる。

「過去の価値を想うのではなく、自分の目で見て、そこに未来の価値を見出すこと」シアタープロダクツが問いかけるテーマは、固定概念を捨て、豊かな発想で、独自のスタイルを自由に楽しもう! というファッションの楽しみ方を改めて提示してくれた。

(花椿編集室 渡部彩)

細倉 真弓

写真家

東京/京都在住
触覚的な視覚を軸に、身体や性、人と人工物、有機物と無機物など、移り変わっていく境界線を写真と映像で扱う。立命館大学文学部、及び日本大学芸術学部写真学科卒業。写真集に「NEW SKIN」(2020年、MACK)、「Jubilee」(2017年、artbeat publishers)、「transparency is the new mystery」(2016年、MACK)など。
http://hosokuramayumi.com