北東へ歩いていくとき
上のほうを光がかすめて
見あげようとすると
すばやく目線をかわすので
なにかと思えばわたしの睫毛が
午前の陽を抱えこんで
金色の露にみせているのだった
下のほうにはわずかに鼻の先がみえる
産毛がさらさらとあたたかく燃えて
わたしの向くほうを示している
鏡を見ていないとき
わたしはいつも
自分の
美しいのにおどろく
指先には血がめぐり
腹はすくことをいやがらない
両足を交互に差し出せば
すこしずつ予測を外れながら
前には進む
わたしの美しいのを
みんなに知らせたいと思う
それに
もう だれとも会いたくないと思う
水も雲も
わたしのすがたを映せない
にきびのできた鼻先は
日時計のように
つぎの季節をめざしている