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今月の詩

2024.06.01

眩暈

詩/朽昏 窓

立ちあがる束の間 くらみ
瞼に瞬く明かり くるめく
ほんの幼い萌芽 まばゆく
この身に余る可能性の瞬き
その一瞬確かに恒星だった

 

 

選評/環ROY

初めて読んだとき、何が描かれているのか分からなかった。急に立ち上がると立ちくらみが起き、一瞬、自分が恒星になったように感じる。どういうことだろうか。抽象的で掴めないまま、もう一度読む。まだ掴めない。素敵なアイディアが浮かんだり、大切な記憶が蘇ったり、内的な発見があったということだろうか?再度読んでみる。ああ!!これは目眩を大仰に表現しているだけだ!鈍感な私もようやく理解して、微笑んだ。「急に立ち上がったらクラクラした」という平凡な目眩を、味わうように注意深く観察し、修辞を用いて詩に昇華させていたのだ。また、ありふれた生理現象を誇張することで、生命の一瞬が宇宙の一部であることを実感させてもくれる。簡潔な言葉でミクロからマクロへ展開するダイナミクスに惹かれた。身体感覚とミニマリズムに焦点を当てた洗練された詩だと感じた。