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今月の詩

2022.12.14

「樹」

詩/詩村あかね

樹々のように
待てるだろうか、わたしよ。

季節のゆるやかな
めぐりのなかで
一葉の歓びも纏えず
風が裸身をしならせようとも

鳥が去った梢で
冷たい雪が解けずとも

必ず来る春を
信じられるだろうか、わたしよ。

鈍色の冬空にひろがる
隆々と瘤をたわませた樹枝
あなたに凭れて
あなたの聲を聴く