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Column

2016.06.28

雑誌の未来

文/大神 崇

先日発表された出版取次大手の日本出版販売(日販)の決算で、32年ぶりに書籍が雑誌の売上を上回ったことが明らかになりました。ここ最近出版不況と言われ続け、雑誌は昨年創刊91誌に対し休刊は177誌にもなり、特に女性ファッション誌の売上が下がっています。そんな中、雑誌『アイデア』(2016年4月号「ポスト・インディペンデント・マガジン」)でも特集されていましたが、従来の雑誌とは異なったインディペンデント・マガジンが増えてきています。そのきっかけは、2009年から開催されているTHE TOKYO ART BOOK FAIRやオンデマンドで手軽に印刷することが可能になり、自分で本を作ることが身近になったことが大きいと思われます。

『TOO MUCH Magazine』2015 summer
『家族』第一号

インディペンデント・マガジンの特徴は、広告売上に依存している雑誌に比べて、編集者の思いが詰まった自由な発想で作られたものが多いことです。『TOO MUCH Magazine』は、都市について考える雑誌で、日本の雑誌であるにもかかわらず英語ベースでグローバルに展開しています。他には毎号一つの家族の一年間を取り上げる『家族』や装丁がとても凝った『疾駆』など、どれも個性的な雑誌ばかりです。また、SNSが普及したことで、これまで情報が届かなかった人に知ってもらう機会が増えました。私が作っている『SHUKYU Magazine』もSNSを通じて海外からの反応が多く、それがきっかけでイベントなどでのコラボレーションにつながっています。

『疾駆』第5号
『SHUKYU Magazine』ROOTS ISSUE

カフェやセレクトショップなどで販売している雑誌が多いのも特徴です。これまでの流通は取次を通し、そこから小売の書店やコンビニに卸して販売するのが基本でしたが、最近は取次を通さずに直接やり取りするケースも増えています。これは小規模の出版社は取次と契約しづらいことも大きいのですが、個人経営のお店が増えたこと、セレクトショップの形態がファッションだけでなくライフスタイル全般まで広がっていることが関係していると思います。

雑誌業界の規模は今後小さくなっていくかもしれませんが、面白い雑誌は生まれてきており、まだまだ可能性はたくさんあると思います。そんな雑誌との出会いが日々の生活を豊かにしていくのではないでしょうか?

大神 崇

ライター/編集者

1984年大阪生まれ。フットボールカルチャーマガジン「SHUKYU Magazine」編集長。原宿のオルタナティブスペースVACANT創設メンバー。企画・編集・執筆など、カルチャーからスポーツまで、ジャンルにとらわれず幅広い活動をしている。
http://takashiogami.com/