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Column

2023.09.07

写真家・細倉真弓による個展「散歩と潜水」が開催

Mayumi Hosokura
walking, diving #27 (look at you dancing) (detail), 2023, cyanotype print on cotton ©︎Mayumi Hosokura
Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art and the artist

ウェブ花椿での連載「まぶたの裏、表」でおなじみの、写真家・細倉真弓さんによる個展「散歩と潜水」がTERRADA Art Complex Ⅰ 3FのTSCAにて、2023年9月2日(土)~10月7日(土)の期間で開催されます。

2021年の「Sen to Me」以来、TSCAでは2年ぶりとなる今回の展覧会では、2022年に香港医学博物館で開催された展覧会「後人類敘事——以科學巫術之名 Post-Human Narratives—In the Name of Scientific Witchery」で初めて発表され、その後日本でも同年にArt Collaboration KyotoのTSCAブースにて展示されたサイアノタイプのシリーズ《散歩と潜水》の新作を、新たに映像作品を加えて2スペースにわたり展示いたします。

Mayumi Hosokura
2 men, 2023, Full HD video, 14’06 ©︎Mayumi Hosokura
Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art and the artist

散歩と潜水

毎日出会うイメージを日々合成して大きなイメージを作っていく。私はそれを仮に「地図」と呼んでいます。

地図は日々大きくなっていきます。そのデジタルイメージの中をスクリーン上で散歩して心惹かれる「部分」を探しに素潜りのようにデータに潜ってイメージを持って帰ってくる。

データの中に潜ってゆっくりとスクロールしながら画面を眺めていると、私が過去に撮ったイメージは自分を離れて、見たことのない、気づかなかった、魅力的な「部分」に出会います。

最初から写っていたものもあれば合成によって自動生成された細胞のようなディティールもある。

新しい発見と再トリミング。その作業は自分だけれど半分自分から離れていくような感覚もある。

そこからはデータを現実の世界にもう一度引き戻す作業をします。

日光により露光され、水に潜って定着されたクエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムと赤血塩で得られるサイアノタイプと呼ばれる紺色の画像は、知っているようで知らない、劣化のようでもあり生まれ変わったようでもある、妙な居心地の悪さと新鮮さを私に与えてくれる。

細倉 真弓

 

古典的写真技法であるサイアノタイプを使って定着させた本シリーズは、自身の視点のなかに、未知の欲求を発見する試みと言えるでしょう。自分が採集したイメージのなかを歩き回る「散歩」、ある地点を極端に拡大する「潜水」、そして、そこから再びイメージを採取するこのプロセス自体が、写真を平面から、深さのある空間として再定義しています。

デジタル上でみる写真とはまた違う特別な空間で作品をぜひご堪能ください。

引用元:TERRADA ART COMPLEX Takuro Someya Contemporary Art 「細倉真弓│散歩と潜水」より

細倉真弓 | 散歩と潜水
会期:2023年9月2日(土)〜10月7日(土)
レセプション:9月2日(土)15:00〜18:00 ※作家来場予定
開廊:⽕〜⼟ 11:00 ‒ 18:00
休廊:⽇曜・⽉曜・祝⽇
会場:Takuro Someya Contemporary Art
〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex Ⅰ 3F TSCA
TEL 03-6712-9887 |FAX 03-4578-0318 |E-MAIL: gallery@tsca.jp

細倉 真弓

写真家

東京/京都在住
触覚的な視覚を軸に、身体や性、人と人工物、有機物と無機物など、移り変わっていく境界線を写真と映像で扱う。立命館大学文学部、及び日本大学芸術学部写真学科卒業。写真集に「NEW SKIN」(2020年、MACK)、「Jubilee」(2017年、artbeat publishers)、「transparency is the new mystery」(2016年、MACK)など。
http://hosokuramayumi.com