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花椿アンビエント

2022.07.29

連載「花椿アンビエント」、スタートします。

昨秋発行の『花椿』でお送りした「花椿アンビエント」が連載企画として、新たに始まります。

つねにたくさんの情報に囲まれている、私たちの生活。意識的、無意識的に情報に触れて、脳が休まらないと感じることはないでしょうか。情報社会に生きる私たちは自分が思う以上に、心身ともに疲弊しているのではないかと思います。そんな時は自然に触れることがいいと言われていますが、忙しい毎日の中で、とくに都市で生活される方にとっては、深く没入できるほどの自然に触れることは少々むずかしい状況です。そのような暮らしの中で、ほんのひとときでも手を休めて、思考だけでもどこかへ行けたら。

「花椿アンビエント」が提案する、環境の音楽。「環境音楽」に明確な定義はありませんが、環境音楽、いわゆるアンビエント・ミュージックをはじめてコンセプト立てたとされる音楽家、ブライアン・イーノは”as ignorable as it is interesting(興味深いと同時に無視できる)”、そして”induce calm and a space to think(穏やかに、考える余白を生みだす)”音楽と、それを形容しています。海や森林、雨や風など自然の音や、機械などインダストリアルな音を取り入れた楽曲など世界観は多岐にわたりますが、それらの音楽は総じて、癒しや集中をうながす効果があるそう。

環境音楽が誘発するそのような心理的な作用に着目し、これからはじまる「花椿アンビエント」は、資生堂研究所が主導するオープンイノベーションプログラム「fibona」とのコラボレーション企画としてお送りしていきます。fibonaの名前の由来となった、自然界の黄金比を定義したフィボナッチ数列にちなみ、この企画をとおして実験的な科学のアイデアとアートの黄金比を模索してみたい、そんな風に考えています。

環境音楽を耳にして自身に起こるマインドの変化は、忙しい日々の中で忘れかけていた自己の本質に気づくきっかけとなるかもしれません。朝のフレッシュなスタートや仕事と仕事の合間のリフレッシュ時、または夜眠る前などにぜひ、聴いてみてください。

第一回は、「環境」をめぐる音と香りの関係から生まれた物語です。こちらからどうぞ。

Artwork/ Reiko Shiga (SHISEIDO CREATIVE)