独特のエクレクティック(折衷的)なスタイルにファンも多いPlan C。デザイナーのカロリーナ・カスティリオーニの色彩感覚や柄合わせ、スタイリングにはいつもアートなフィーリングが宿っている。
今季は、ニューヨークを拠点に活躍するアーティスト、イェレナ・ヤムチュックとタッグを組み、よりアーティスティックなアプローチで新作を発表した。
カロリーナの24年春夏コレクションは、イェレナが撮り下ろした。撮影後、ルック画像はコラージュによってアートワークに。イェレナが特別に製作した作品シリーズ「Noctambulations」とともにミラノファッションウィーク期間中、エキシビジョンを開催。アートの展示の中に、新作コレクションが並んだショールームではカロリーナとイェレナが迎えてくれた。
Talking with カロリーナ・カスティリオーニ
Q:イェレナ・ヤムチュックさんと今回、コラボするに至ったきっかけを聞かせてください。
カロリーナ:2年くらい前だったかしら、ミラノで彼女の展覧会を見て、とても感激しました。いつも一緒に仕事をしているスタイリストにすぐに相談すると、彼女がイェレナ本人にアプローチしてくれたんです。イェレナと話すうちに、新作コレクションの撮影が決まりました。コラージュにするというのはイェレナのアイデアです。
Q:イェレナさんとの協業はいかがでしたか?
カロリーナ:とても刺激的でした。面白かったのは、私たちはファッションとアートという異なる分野でモノづくりをしているのに、不思議とアプローチが似ていると分かったこと。とても直感的なんです。
彼女のセンスにも共感しています。イェレナの作品は、すばらしく洗練されていながら、同時にエッジが効いていて、非常にモダンだと思います。
Q:今回の作品の中で一番のお気に入りはどれですか?
カロリーナ:今回のエキシビジョンのメインビジュアルにも選んだこのルックです。このグラフィカルな黒いラインが前衛的でありながら、エレガントに仕上がっていると思います。
Q:あなたにとってアートとはどういったものですか?
カロリーナ:アートは実験的で、鑑賞者のさまざまな感情を引き起こすものだと考えています。それはファッションも同じ。たとえば服を買うとき、着るときとそれぞれに違った感情が生まれるでしょう? いつもそんなファッションを作りたいと思っています。
Talking with イェレナ・ヤムチュック
Q:Plan Cをどう思いますか?
イェレナ:カロリーナは非常に才能のある女性。彼女が手掛けるPlan Cの、マスキュリンでありながらフェミニンさもあるところが大好きです。今日私が着ているプランCのスーツも素敵だと思いませんか? 独自性が際立っているブランドだと思います。
Q:あなたにとってファッションとは?
イェレナ:個人のスタイルを表現するもの、それが真のファッションだと思います。自分のスタンスややりたいことを、ルールに縛られないファッションで示すというのは、非常にクリエイティブな方法ですよね。
そもそも私、ファッションが大好き。トレンドには関心がありませんが、さまざまなスタイルをミックスするのが私のスタイルです。
Q:あなたの作品制作について教えてください。
イェレナ:いつも1つの強いイメージから制作を始めます。それは顔かもしれないし、何かのオブジェクトかもしれない。そして、そのイメージからスタートしながらも、コラージュという手法を用いて結果的には全く違う世界を作り出すんです。スリリングでドリーミーな世界。
今、展示している作品の中ではこれが一番気に入っています。オリジナルの写真の色やシェイプが惹かれて。写真の一部を切り取り、ピンクの紙を下に重ねて、黒い丸を貼りましたが、異なる要素を持ち込むことで、ハッピーな雰囲気だけどどこか風変わりな印象に仕上がりました。
Plan Cの24年春夏コレクションのご紹介
24年春夏に多くのブランドが提案したショートトラウザー。Plan Cでは数年前から発表しており今季もラインナップ。
テーラリングジャケットなど、サルトリアルなピースはPlan Cには欠かせない。
パステルカラーのジャケットはパリっとした素材感。カロリーナはいつもファブリックリサーチに重点を置いている。
今季はブランドとして初めてデニムが登場。
プレシャスなスパンコールが装飾されたアイテムもスポーティーやマスキュリンなど異なる要素を掛け合わせ、独自の解釈でグラマラスを表現。