生命力が溢れる人は美しく、人を魅了します。
自らの輝きで周囲を照らす人から放たれるエナジーとは―。
パワーの源になっている原動力、そしてそれらが自身に与える影響について聞いてみました。
今回のゲストは俳優のりょうさんです。
そのとき、そのときを全力で楽しむという生き方。
「役者って、そのとき、そのときの自分を残していける仕事だと思うので、その時点で自分のもっているものを全部出し尽くしたいという気持ちがあります。だから、当たり前ですが手は抜けないし、全力でやるんですけど、そのためには、一日一日をていねいに生きていかないといけない。なぜって、その積み重ねが、自分に自信をつけてくれると思うから。そういうものが、結果エナジーになっていくのかなと」
そう話すのは、10代からモデルとして活動し、20代からは、ドラマ、映画、舞台と垣根を飛び越え、多くの作品に出演してきた俳優のりょうさん。
「どれも演技をするお仕事ですが、かかわる人によってスタイルが異なるので、映像だから、生の芝居だから、というふうに分けて捉えてはいないかもしれません。例えば舞台で、生の芝居をすると、お客さんたちとの関係性が作品に深く関わってくるので、毎回違うものになっていくという面白さがありますね。一方、映像の場合は、『この期間、あなたたちは家族です』といきなり子どもがたくさんできたりして(笑)、すぐに芝居に入っていくのでその場の瞬発力が求められますし、コミュニケーションの取り方も変わっていく。それぞれの魅力があるんですよね」
作品によって環境も方法も変化する仕事だからこそ、BRAHMANのTOSHI-LOWさんとの結婚で家族ができたこともまた、りょうさんに挑戦する力を与えてくれた。
「帰る場所があるのは大きいです。味方をしてくれる家族の存在もそうですけど、まず、ゆっくり寝られる場所があるってすごいです(笑)。仕事に集中するためにも、リラックスできる時間は大事ですよね。例えば、地方公演に出ると、最初に宿泊先で近くの花屋を見つけるんです。そこで花を買って、花瓶にいける。そうして、まず居心地のいい場所をつくるんです。あとは、ビールを冷蔵庫に入れたりね」
オフの時間で幸せを感じるのは、息子から甘えられる瞬間と、昔からの趣味の手芸をしているときだとか。
「子どもが二人いるんですが、下の子が一緒に寝るのを嫌がり始めて、成長を喜ぶべきところなんですが、思った以上にショックが大きくて……。たまに『一緒に寝ていいよ』と言われると、幸せを感じます(笑)。あとは、刺繍をしたり、お洋服やアクセサリーをつくったりする時間もそうかな。物をつくる過程が楽しいので、完成したらスッキリして、人にプレゼントしちゃうんですけど。素材を見て、これをどう組み合わせたら一番生かされるだろう?と想像するのが好きなんです。それって、この役をどうやって見せるかということと似ているのかもと最近考えます」
心身ともに美しく歳を重ねているように見えるりょうさんだが、年齢に対して複雑な思いを抱えることもあるそう。
「現実的に、悲しくなる瞬間もありますよ、そりゃ。でも、年を重ねていくと、ちょっと余裕がでてきて、世の中や周りがより見えるようになってくる。そうすると、自分のこともわかってくるから、本来もってる魅力を見つけやすくなるんじゃないかなと思う。お芝居も同じで、いい人について知らないと、悪い人の役はできないんです。だから私、悪役を演じるの、とても好きなんです」
「芝居が好き」ということが全身から伝わってくる彼女が、さらにエナジーを感じる人とはどんな人なのだろう。
「好きなことをして、今を楽しんでいる人たちは、 年齢を超越した美しさがあるなと。好奇心旺盛で子どもみたいな可愛らしさもあれば、経験から積み重ねた感性や知性をもつかっこよさもあって、人間的な魅力がすごく伝わってくる。生命力溢れる、生きいきとした姿に色気を感じますし、自分もそういう人になりたいなと思いますね」
ファッションやメイクにも、自分らしいスタイルのある人に魅力を感じるというりょうさん。プライベートでは、圧倒的にパンツスタイルが多いそうだが、その理由も「自分が好きで着たいと思うから」と明快だ。
「お化粧やお洋服って、好きなものに向かっていく自分のベースをつくってくれるくらい、強い力があると思います。私にとって、ファッションは人のためにすることじゃない。もちろん、人からどう見られるかは気にしますよ。でも、自分がこれ!って感じるものを自分のために着たい。そうやって気持ちが上がったり、その日を楽しめれば、それが一番なんじゃないですかね」
花椿編集室からのQuestionに、りょうさんが答えてくれました
Q . 子供のころの夢は?
Q . 1日のうちであなたにとって一番大切な時間とその理由は?
Q . 落ち込んでいる人に声をかけるとしたら?
Q . いま、行ってみたい場所は?
Q . 「美」ということばからイメージすることとは?
りょう
1973年、埼玉県出身。モデルとして活躍し、1996年、ドラマ「ロングバケーション」で俳優デビュー。映画『双生児』で高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞。他出演作品に舞台「偽義経冥界歌」、 ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」。近作は「王様に捧ぐ薬指」に出演。11月、舞台「ジャンヌ・ダルク」にヨランド・タラゴン役で出演予定。
インタビュー:小川知子
スタイリング:申谷弘美
ヘアメイク:計良宏文、贄田愛(ともにSHISEIDO)
ドレス/ PLAN C(HiRAO INC.)、サンダル/ Gianvito Rossi(HiRAO INC.)
*本記事は『花椿』2023年号に掲載されています。
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