次の記事 前の記事

Column

2023.08.10

My Energy Story 第2回 パワーパフボーイズ

生命力が溢れる人は美しく、人を魅了します。
自らの輝きで周囲を照らす人から放たれるエナジーとは―。
パワーの源になっている原動力、そしてそれらが自身に与える影響について聞いてみました。

今回のゲストはダンサーや振付師として活躍する、パワーパフボーイズさんです。

面白がることが、ハッピーな共鳴力になっていく。

「呼ばれた時点でウチらの勝ち」がキャッチコピーのダンスユニット、パワーパフボーイズ。SEKAI NO OWARIの「Habit」MVのクセになる振り付けや、キュートでパワフルなダンスで人気を博す、プロダンサーのA Oさん、K A Nさん、naotoさんからなる3人だ。音楽があり、振り付けがあり、踊る人がいて、それを見てくれる人がいる。その環境こそがダンスに命を与える。自分がもっているクリエイティビティを国境も性別も関係なくボーダレスに、自由自在に表現できる、正解のないツールであると3人は語る。

「ダンスは生モノですし、テクニックを伝えるだけでは、一人の人間だけでつくれるものでもないんですよね。同じ空間にいるみんなで共鳴し合って、そこからエナジーが生まれるのだと思います」とAOさんは語る。「自分を表現できるひとつの言語みたいなものですね。僕は、比較的いい子として生きてきたタイプだったんですが、ダンスに対してはわがままに、自分ファーストになれるんですよね。あ、ここに自分がいたんだみたいな感覚というんですかね」とnaotoさん。そして、「naotoとは逆に、初めましての自分に会えるっていうことも僕にはあるかも。俺そんな顔なの!?とか頭では知らなかった自分を知るのもダンスだったりする」とKANさんが加える。
 
 もともと仕事仲間でもなんでもなく、仲の良い友達同士で全員ダンスもできるから踊ってみる? と自然とできたグループだという。ダンス業界でも、こんなふうに友達と一緒に仕事をすることは珍しいとか。
「仕事をするようになっても、全然関係ないくだらないことで笑ってるときの、〝ただの友達モーメント〞がやっぱりいいなと思います」とnaotoさんは言う。AOさんもまた、「一人でできることって、限界があるじゃないですか。3人になってから、可能性の無限大さを感じていましたし、初めて会ったときから今も変わらず同じくらい面白いんですよ、彼らと一緒にいると。僕は、グループラインに送っちゃうくらい、SNSに投稿しちゃうくらい、このチームが大好きなんです。ファンの人が『パワーパフボーイズ大好き』って言ってくれるのに、『僕のほうが好き!』って思うくらい2人のことを愛してるし、2人の笑顔の映像を見ているだけで泣けちゃう」と涙目で語り、「何があったの〜(笑)」とKANさんが肩をポンポンとさする。
 
 ファンから「かわいい」、「ツッコミのない世界」といった声が届くほど、仲良し3人によるキャッキャッとしたことばのキャッチボールが続く彼らのアティテュードは、「ギャルマインド」と称されることもあるのだとAOさんは言う。
「3人でわーっと楽しくなっちゃった形が、たまたま『かわいい』風に見てもらえたのかなと。周りに何を言われようと、『こっちは勝手に楽しむんで、別によくないです?』というギャルマインドも確かにありますね」

好きなことを勝手に楽しんでいれば、それは自ずと伝染していくんじゃないか、そう3人は考えているそう。
「番組やMVを見てくれた人から、『元気をもらいました』とか『勇気をもらいました』と言っていただき、純粋に僕らが面白いと思ったことをやって、そういう気持ちを受け取ってもらえる力を僕たちはもっているんだと。嬉しかったですし、すごいことだなと」とnaotoさんは振り返る。「MV『気分上々↑↑』を発表したときの反応を見て、どうやら僕たちは、ハッピーを振りまいているみたい(笑)と思ったんですよね。僕たちがそういう共鳴力をもてているんだとしたら、それはすごくいいことだなと」とAOさん。一方、KANさんはハッピーの押し付けになってしまう難しさにも触れる。
「ハッピーかどうかは受け取るみなさんが決めることじゃないですか。だから、僕ら自身ががオモロイと感じているかどうかが一番大事なんだと思います」
 
 表に出て踊り、表現することへの無条件な楽しさは常にあるものの、パワーパフボーイズならではのエッセンスを生かしたアーティストのMVやCMの振り付けの仕事では、予想がつかない掛け算の面白さがあるという。依頼されたアーティストとは、しっかりコミュニケーションをとる。でも、「9割はなんでもないお喋りをしてる」というのも3人らしい。
「アーティストの方と僕らが話して、心がつながった瞬間があった作品は、バーっと広がっていった気がします」

花椿編集室からのQuestionに、
パワーパフボーイズさんが答えてくれました

Q . 子供のころの夢は?

AO
KAN
naoto

Q . 落ち込んでいる人に声をかけるとしたら?

AO
KAN

Q . いま、行ってみたい場所は?

AO
KAN
naoto

Q . 「美」ということばからイメージすることとは?

AO
KAN
naoto

パワーパフボーイズ
2018年結成。それぞれがプロダンサーとして数々の一流アーティストのバックダンサーや振付の経歴を持ち、世界中から人気を集めるAO・KAN・naotoからなる3人組ボーイズグループ、通称“パワパフ”。

撮影:鈴木親
インタビュー:小川知子
ヘアメイク:新城 輝昌, 深野 結花((ともにSHISEIDO)

ジャケット、トップス、パンツ/ VALENTINO(VALENTINO INFORMATION DESK)、
シューズ、アクセサリー/ VALENTINO GARAVANI(VALENTINO INFORMATION DESK)

*本記事は『花椿』2023年号に掲載されています。
詳細はこちら