自然環境の保全と経済の発展、その双方を両立した健全な社会を次の世代につないでいくために、企業にはさまざまな配慮が求められています。資生堂は、地域と環境との共生を目指した最新鋭の工場として、2019年12月に資生堂那須工場(栃木県大田原市)を稼働させました。その取り組みについて、資生堂 那須工場 小林製造部長に話を聞きました。
自然と地域と共にある、資生堂のモノづくり
那須連山を望む緑豊かな土地に位置する那須工場は、その水の利活用や取り組みに特徴がある。
「那須連山を通り自然ろ過された良質の地下水をさらに精製し純度を高め、製造工程や化粧品の原料に使用しています。また排水処理には一般より厳しい自社基準を設け、それをクリアした水を河川に放流しています。地域の水を活用した後、それ以上に綺麗な水にして自然に還す、さらにはその水の一部が水田などにも利用される、そんな地域との水循環の仕組みを実現したいです。何よりも那須の美しい水を大切にする工場にしたいんです。」
他にも、地元の水力発電によるCO₂フリー電力の使用や、節水対策案のひとつとしての温泉水活用の検討など、地域の特性を生かした環境負荷の少ない手法を模索している。
モノづくりで近年課題となっているのは、サステナビリティと生産の両立。そこで、生産の各工程でのリードタイムの短縮などによる“ムダのない生産体制”を構築。他にも、環境に配慮した原材料の調達や処方開発、包材のリサイクル、物流の効率化など、環境問題の解決・改善に向けた努力が日々行われている。
「この地域は那須連山で育まれた木々や清らかな水、水田が広がる肥沃な大地など自然が豊かで、人もいい。稼働前から共に働く信頼できる従業員にも恵まれました。いま推進している自然や環境への配慮に加え、地域社会や人への貢献も重要です。那須工場がそんな地域の人や自然の一部として共存し、50年先、100年先も愛される工場として存続できるよう、これからもさまざまな取り組みを行っていきたいと思っています」
◆「地域と環境との共生を目指す最新鋭の那須工場」
◆「1日も早く、手指消毒液を医療現場に」
◆「資生堂のサステナビリティの取組み」