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Column

2021.07.03

Charaが体現する「Beauty Beyond Boundaries」、そしてこれからの人生について。(後編)

写真/鈴木 親

衣装/飯田珠緒

文/小川知子

ヘア&メイクアップ/百合佐和子(SHISEIDO)

『花椿』にて2016年11月発行号から4年にわたって対談連載「サロン・ド・バー 花椿」にママとしてご登場いただいたCharaさん。さまざまなテーマでゲストとの対話を楽しんだ連載も2020年夏・秋合併号で終了を迎えました。2021年春夏号のテーマである「Beauty Beyond Boundaries‐美は境界を超える‐」を体現し続けるCharaさんに、前編に続き、子どもとの日々やこれからの人生についてお話を伺いました。
前編に続く、インタビュー後編です。

年を重ねても、青春していたい。

ー後半のインタビューは、Charaさんの“これから”についてお聞かせください。

これからはもちろん、独身なんでね、恋ですね(笑)。ほかにもいっぱいあるんですけど、スペース・クリアリング(場の浄化)はけっこう好きなんですよ。いま、家を一部直しているんですけど、しっかり修復したら200年はもつというし、子どもたちがここに住むかはわからないけど、ちゃんとしていきたいなと。あと、いまは外国へ行けないけれど、食器や料理が好きなので、落ち着いたらトルコでミントティーグラスを買いたいな、と思ったりしてます。前から外国の写真集を見るのが好きなので、Instagramでも美しいトラベル写真をよく見てます。車にも酔いやすいし、飛行機も大嫌いだから、なかなか自分で辺鄙なところへ行くのは大変じゃないですか。だから、そういうところの写真を見るのはとても好きですね。

ーアーティストとしてのこれからについてはいかがですか?

アーティストとしてもプライベートと同様、新しいパートナー探しですね。もう人生も折り返していますので。とはいえ”青春している”(前編より)というか、アイデアもたくさん出てくるんです。いま、じゃがいもを育ててるので、もうちょっとして収穫したら、綿引印(綿引はCharaさんの本名)のポテトチップスをつくりたいなと。私、何かを育てるみたいなことも得意だと思うんですよね。だから、Charaとしてのクリエイションとは別に、プロデュースすることもやっていきたい。まぁ、子どもは最高のクリエイションだけど、もし孫ができたら、ということがこれからの楽しみではありますね。それに向かっておばあちゃんの味を引き継いでいけたらなって。おばあちゃんのおはぎの味とかあるといいじゃないですか。

ーすでにいろんな得意料理をおもちですよね?

料理は嫌いじゃないです。なぜなら食べるのが好きだから。ただ、疲れているときには無理してつくりたくないんだけど、割と頑張って料理するタイプではあるかな。

ーCharaさんとしてアーティスト活動もしながら、お母さん活動も両立させてきたわけですが、大変ではなかったですか?

よくやってたよね。毎日5時半に起きてお弁当をつくってた。よく体力があったと思います。今もし、孫ができて必要に迫られたらまたやっちゃうのかなぁ、私。それはそれで楽しそうだけどね

ーお子さんが小さい頃は、アーティストの自分を家にはもって帰らないことを意識されてたとか。

娘のすーちゃん(SUMIREさん)が赤ちゃんのときは、ヘッドフォンをしていたら、「子どもが泣いてるよ」と言われたんですよね、その頃の旦那さんに。「代わりに見てよ」と思うんだけど、指摘されて、泣いてることに気づけないからこれは駄目だなと。子育ての延長で音楽を楽しむくらいはいいけど、子どもが寝てるときにヘッドフォンをして作業するのは止めようと思って、「行ってきます」と出かけて「ただいま」と帰ってくるまでの間にできなかったら、それ以降はもうしないことにしたんです。そしたら、その間にできるようになったんです。でも、これは自分だけで成し遂げたわけじゃないよ。ナカジマさんという最高なスーパーシッターさんがいたから。彼女が本当に素晴らしくて、私の誕生日とわかったら、家族みんなの前で美声でバースデーソングを歌いあげちゃうような、すごくチャーミングな人なんです。皆さんの協力があってできたことです。

ーじゃあ、外でCharaとして仕事をして、帰ってきたらお母さんと分けていたんですね。

小さいときはそうしていたけど、ある程度大きくなると、お母さんがCharaだとわかったほうが面白いじゃないですか。せっかくCharaの子どもなのに、そういう前提で人とコミュニケーションとることを知らないのはもったいないと思ってからは逆に連れ出してました。年齢によって、子どもたちにどんな意味があるかを考えながら。

ー今やHIMIさんは21歳、SUMIREさんは26歳で二人とも音楽、俳優とそれぞれ活躍されてますもんね。

最近は息子も大人になってきて、音楽のこともお互いに相談できるというか。英語の歌詞も書いてくれたり。私からしてみたら新世代の人たちにアドバイスできるわけですよね。すーちゃんもそうなんですけど、似たような仕事をしているからこそ家族でよく相談をし合うんですよ。2世だからと変なことを言う人はいっぱいいるんですけど、「言ってる方も苦しいだろうな」と思っていればよくて。2世は2世なりに、例えば料理屋さんの2代目も小さいときからずっと親を見てるし、いろいろ複雑な感情をもってるはずなんですよ。でもそれを乗り越えちゃったんじゃないかなと思う、あの二人は。リスペクトがあるからね。

人生の先輩に学ぶ。

ー25周年の際にインタビューをさせていただいたときに、年齢を重ねることに対して、身体の変化は感じているけど、先輩から「大変だったけど、終わるから」と言われて焦ってはいないとおっしゃっていたんですが、そこから気持ちに変化はありますか?

身体の変化はあるよ~。やっぱり、もう徹夜とかできないし。でも、焦りはない。ただ、この調子が悪いのはホルモンのせいだったのか、とホルモンのせいにすると楽です。私自身、更年期障害的な症状はけっこうあって、気圧の変化が大きいシーズンは北海道に行きたいなとかずっと思ってましたし、調子が悪くて救急車で運ばれたりしたこともあったんです。でも、婦人科専門の主治医さんに出会ってからは相談できたり、先輩や周りの似たようなことを経験している人たちともそういう話を共有できる。「私だけじゃないんだ」という安心感と、いろんな例をみんなと「なるほど~」って話すことが大事なんだよね。

ーCharaさんはしてくれますが、メディアでも公の場でそういう話をしてる大人はあまりいなかった気がします。

いないね。きっとすごい調子悪い人はいっぱいいたんだと思うけど。最初の入り口に一人で来ると、ホルモンのせいで大変になってしまうけど、私はそういう時期も乗り越えたと思うな。恋でもしたらスッスッス~と抜けれるのかな。でも恋も疲れちゃうからね。大人の恋がいいですよね。

ーCharaさんは、身体も鍛えてらっしゃいますよね。

今年はライブに向けてウエストのくびれをつくるべく、毎日100回腹筋をねじねじやらなきゃいけなくて。ライブに向けたほうがやる気が出るからね。そうすると、着たい服も着れるし楽しいじゃん。同じ運動をしてるときも、上積みがとれると可動域が広がるからね。でもライブがないと痩せないのよ。産後に骨盤が開いちゃって、そこからの取り組みが遅かったから、最近になってからやっぱり大事だなと思って、歩き方のトレーニングとかいろいろやってるうちにちょっと痩せたんです。

ー自分が楽器でもありますもんね。

そうなの。ヴィンテージ楽器だからさ。若いときは重心がちゃんとしてたから声が出やすかったんですけど、骨盤の歪みや膝の痛みとかいろいろあったから、今はちゃんとほぐしたり声出しをしないと、呼吸が浅くなって全然声が響かないんですよ。でもある程度自分の身体をほぐすと、リラックスして呼吸がちゃんとできるようになる。歳をとっても重心がしっかりしてる人もいるけど、やっぱり歪む人が多いから。

ーだからこそ、整える必要があると。

そう。でもトレーニングは結果が出るから、楽しいって思えます。老化もそうだけど、あ、こうなるんだと自分の身体を知ると整えやすいから、体調が悪くなるのはなぜかなと、いろんなことを担当医に相談してました。薬もあるし、お守りとしてもってるだけの薬でもいいんだけど、自分で調整できると思えるから、それで今はだいぶ安定してる。

ー確かに、知らない不安なことを知っていくと、あまりとらわれないでいられるのかもしれませんね。

お肌もシワとかシミとかたるみとかしょうがないこともあるけど、多少お手入れをしたらこんなに違うんだと思いますからね。もちろん、自分で好きなものを使えばいいし、お化粧品じゃなくても、お酒もお茶も何でもそうだけど、自分が好きなものを知るってことは大人としてすごく素敵じゃないですか。その一部として、婦人科系だったら、アロマもあるし、ストレッチ、呼吸法もあるし、いろいろできることがあるからね。

ーCharaさんは”好き”を大事に生きているから、青春しているんですね、きっと。

「かわいい」っていうことばが好きで、いいことばだなって。小さな子どももそうだし、植物、食器、洋服でも、本当にいろんなかわいらしいものがある。男の人に対して言うこともあるし、別にブリブリのものだけがかわいいわけじゃないと思っていて。「かわいい」を1日のなかで何回も言っているんです、んふふふふ。チャーミングという言い方もあるけれど、「それすごいかわいらしいね」「素敵だね」「美しいね」とかはたくさん言いますね。ミュージシャンはけっこう使いがちな気がする。会話が詩になりがちというか。

ー感情に正直なんですかね。

あぁ、心で思ったことを言いがちかもね。それがミュージシャンのいいところだと思います。自覚してないんだけど、「会話が少し読み物っぽい」と友達に言われたりします。

ー「あなたは素敵だね」とか「かわいいね」と思っていても、直接言うのはちょっと照れくさいというのはありますね。

でも1回言ってみたらいいよ。映画とかでも素敵な台詞があったら、そのままじゃなくても自分なりに、「来た! いまこれ言うとき!」ってあるじゃない。言ってみたいことばでサプライズしたいときとかに、使ってみたらたぶんすごく楽しいと思う。私たちミュージシャンはそうすることに慣れちゃってるけれど、言ってみたいことばを口にするのはすごい素敵なことじゃないかな。

ーそうですね。お子さんに対してもいつも思ったことは言うんですか?

はい、言ってました。スーパーシッターのレジェンドのナカジマさんも同じように言ってくれる方で、彼女のことば使いもまた美しいんですよ、すごく。「ナカジマさんに聞け」ってコーナーを花椿でぜひやってほしいくらいです。

ー親もそうですが、そういう味方でいてくれる第三者の大人の存在って、子どもが自信をもったり、力強くいるためにすごく重要ですよね。

そうそう、重要だよね。あ、おばあちゃんになってやりたいことあったわ。例えば、スタジオでご飯をつくるおばあちゃんをやってみたいですね。その頃に耳が衰えてなければ、「もうちょっとドラムはさっと上げて~」とか横槍入れて、「あのおばあちゃんなんかすごいらしいよ」とか言われたりして。それは平岡恵子って友達のミュージシャンと二人でやりたいなぁって話したりもするんですよ。ふざけた感じだけど、そういうことばにできるような老後の夢がいくつかあって。とにかく、音楽は声が出なくなってもつくれるし、ハッピーな仕事が続けられたらいいなと思いますね。

前編はこちら

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『Chara Live 2021 Sweet Soul Sessions ~Glitter~』
公演日時:2021年7月18日(日)
OPEN 16:30 / START 17:30
会場:日比谷野外大音楽堂
チケット:指定席 ¥9,900-(税込)
●チケット購入はこちら ↓
https://charaweb.net/

Chara

1991年デビュー。‘96年には女優として出演した岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』が公開され、劇中バンドYEN TOWN BANDのボーカルとして参加し制作されたテーマソング「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」が大ヒット。’97年のアルバム「Junior Sweet」は100万枚を超えるセールスを記録。
この頃からファッション、ライフスタイルを含めた新しい女性像としての人気を獲得。近年では、HIMIこと佐藤緋美とSUMIREの2人の母として、またアーティストとして両立させてきたCharaのライフスタイルにも共感するファンの支持も厚い。
2021年にはデビュー30周年を迎え、記念書籍の刊行・オーケストラとの共演・女優としてドラマへの出演など活動も盛んななか、’22年11月に日本コロムビア移籍第一弾シングル「A・O・U」をリリース。‘23年にはサントリー「ほろよい」のCM出演、6月〜7月にかけて約4年ぶりとなる全国ツアーを実施し、全公演ソールドアウト。
https://charaweb.net/
https://www.instagram.com/chara_official_/

鈴木 親

フォトグラファー

1972年生まれ。1998年渡仏。雑誌Purpleにて写真家としてのキャリアをスタート。国内外の雑誌から、ISSEY MIYAKE, TOGA, CEBIT, GUCCIのコマーシャルなどを手がける。
主なグループ展に1998年 COLETTE (パリ / フランス) 、2001年 MOCA (ロサンゼルス / アメリカ)、 2001年HENRYHENRY ART GALLERY (ワシントン / アメリカ) がある。
主な個展に2005年 TREESARESOSPECIAL (東京 / 日本) 、2009年 G/P GALLERY (東京 / 日本) 、 2018,2019,2020年 KOSAKU KANECHIKA (東京 / 日本)がある。
作品集は、2005年『shapes of blooming』(TREESARESOSPECIAL) 、2008年『Driving with Rinko Kikuchi』(THE INTERNATIONAL) 、2009年『CITE』(G/P GALLERY, TREESARESOSPECIAL) 、 2014年『SAKURA!』(LITTLE MORE) 、2020年『Shin Tokyo』(apb)など。
https://www.instagram.com/chikashisuzuki1972/

飯田 珠緒

スタイリスト
モード誌、広告などさまざまな分野で活躍。大の猫好き。
https://www.instagram.com/tamaoiida/?hl=ja

小川知子

ライター

1982年、東京生まれ。上智大学比較文化学部卒業。雑誌を中心に、インタビュー、映画評の執筆、コラムの寄稿、翻訳など行う。共著に『みんなの恋愛映画100選』(オークラ出版)がある。
https://www.instagram.com/tomokes216
https://twitter.com/tometomato