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Column

【新連載】いまここから考えてみる、銀座のこれから。

2021.05.13

ゲスト/小谷実由

写真/伊藤明日香

ヘアメイク/西森由貴(SHISEIDO)

 1872年に銀座の地に創業した資生堂は、149年もの長い時間、この街とともに歩んできました。関東大震災や戦争を乗り越え、伝統を守りながら発展し、住む人、働く人、訪れる人を受け入れ、皆に愛されてきた銀座。
 人々の意識や生活様式が変化しているいま、あらためて銀座の未来に思いをはせ、この街がこれからも人々がさまざまな物語をつむぐ舞台でありつづけてほしい……そんな思いから、この連載をはじめてみました。
 これから毎月1回、さまざまな視点で銀座を歩き、この街が末永く人々に愛される街であるための新しい視点や魅力をみつけるきっかけをお届けします。ご登場いただく方々の、それぞれの「銀座」をぜひ堪能して、あなたが考える銀座のこれからについて教えてください。

資生堂銀座ビル前。

Vol. 0: 銀座のこれからについて考えてみませんか。

 

小谷さんと銀座。

 イントロダクションは、ウェブ花椿の「東京喫茶部」で数々の喫茶店を紹介している小谷実由さんです。銀座には喫茶店を目当てに足しげく通っているとのこと。今日は、資生堂銀座ビルで展示されているSHISEIDO WINDOW ART「銀座生態図」前に集合いただきました。この作品は、銀座の生態系から銀座の未来を考えよう、というテーマのもと作られたものです。そこで、小谷さんと一緒に銀座で自然散策をしながらお話を聞きました。

SHISEIDO WINDOW ART「銀座生態図」を担当した、堀景祐さん(資生堂 クリエイティブ本部)から銀座の生態系についてレクチャーをうける小谷さん。
資生堂銀座ビルの屋上にある「資生の庭」(一般非公開)にて。
鳥や虫が生息するための植物が約100種類も植えられており、貴重な都会のオアシスでもある。「資生の庭」という名前は、社名の由来でもある易経の一節「万物資生(すべてのものはここから生まれる)」にちなんだもので、自然の恵みへの感謝や多様な生きものが共生する街づくりへの貢献という気持ちを込めている。

 並木通りのシナノキ、花椿通りの4本のイズモツバキを見上げながら歩き、これまで銀座にある自然を意識したことがなかったという小谷さん。
「“生態系”視点で銀座の街を歩いたことがなかったですね。道端の植木が好きなので、散歩するときには気にして歩いているのですが、銀座では意識したことがなかったので新鮮ですね」
と目をキラキラさせながら歩いていきます。10代の頃にオーディションのために新橋を訪れる前後でよく銀座を通過していたそう。
「その頃はオーディションの緊張の延長線上にあったので、街歩きをしたり喫茶店には行ってないんですよね。銀座の魅力にまったく気づいてないんです(笑)。21、22歳くらいで喫茶店の虜になり始めてから、この街の魅力がわかり始めたような気がします。もともと60年代ファッションが大好きで、同時代の映画やアートを見るようになりました。でもそれは、第三者として眺めている感覚が強かったんです。博物館で柵の外から中をみるような。ある時、純喫茶に行って、好きな時代の世界に身を置けることに感動して、すっかりはまってしまいました。その時代から大切にされている空間に自分が入れる、触れる、そして歴史を知っているお店の人と話ができる。自分にフィットしたんですよね」

花椿通り。
並木通りのシナノキ。

そこに息づくドラマ。

 銀座には喫茶店以外にも老舗と呼ばれるお店がたくさんありますが、Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)TORIBA COFFEE(トリバコーヒー)のような新しい風も入ってきています。
「そうですよね、伝統や文化を感じる場所もあるし、若い人を受け入れる場所もちゃんとある。ある意味昔から多様性に富んだ街なんだなとも思っています。コロナの前は海外の方もたくさん来ていましたしね」
 小谷さんが言うように、銀座は昔から伝統を守りつつ、その時代に即した革新を繰り返している街でもあります。
「コロナになって、好きな喫茶店が閉店すると聞いた時に、私がもっと足を運べばよかったのかもしれない…という悔しさを感じたんですよ。街や店にもサステナビリティというものがあるような気がしていて、大切なものは少しでも長く続いてほしいと思うんです。ほんの数年でできあがったわけではなく、そこにはドラマが息づいているんですよね。だから私が足を運んで、SNSなどで発信する、それが明日のお客さんにつながる。そんな風に貢献できたらと思うんです。何代にもわたって受け継いできた人の思いを途切れさせてはいけない!と思っているんです」

銀座にも蝶が訪れている。
撮影時にはナツミカンの花が香っていた。

最近考えていること、はじめたこと。

  地球のこと、街のこと、人々の暮らしにおいても世界中で意識が高まっている「サステナビリティ」という視点。小谷さんは自身の生活にも少しずつ取り入れているそうです。
「今日着てきたこのニットはRYE TENDER(ライテンダー)という残布や残糸のアップサイクルのプロジェクトから生まれたブランドなんですよ。友人でもサステナビリティに意識をもっている人が多くて、私も勉強中です。サステナビリティ=持続可能性ということなので、楽しく、素敵に続けられることをしていきたいと思っています。地球にいいことしてる!という感覚は気分もよくなるし、自己肯定感のアップにもつながる気がしています。最近は選択肢が増えてきましたが、ちゃんとした情報をもとに自分のライフスタイルに合わせて取り入れていきたいです」
 
 最後に、今までにない“銀座歩き”の感想をお聞きしました。
「今日は、初めて自然や生態系の視点で銀座を歩きました。こんなにも自然があるなんて気づかなかったので、新しい銀座を見た気がしますね。和光のところに、私の大好きなタマアザミがあるということも知れたので、今度見つけたいと思います。若い人には敷居が高いという人もいるけど、銀座はいろんな楽しみ方がある街です。路地もあるし、エリアによっては夜のお店がたくさんあって、その看板を見ながら歩くだけでも楽しいんですよ!おすすめです。もしくは、喫茶店でもいい、ウィンドウをみるだけでもいい、その人なりの楽しみ方が絶対に見つかる街。とにかくまずは、銀座を歩いていろいろ知ることです。知ることで、その街の未来を考えられる気がするんですよね」

小谷さんが最近はじめたサステナブルなこと
RYE TENDERの服を着る
Stojoを使う
・プラスチックトレーと牛乳パックを地域の回収センターにもっていく

*SHISEIDO WINDOW ART「銀座生態図」
資生堂銀座ビルの1階のSHISEIDO WINDOW ARTとしてにスタートしたウィンドウディスプレイ。
季節によって展示内容も変わっていく予定。(中央区銀座7-5-5)

クリエイターの紹介

小谷実由

モデル

1991年東京生まれ。ファッション誌やカタログ・広告を中心に、モデル業や執筆業で活躍。一方で、様々な作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。昭和と純喫茶をこよなく愛する。愛称はおみゆ。
https://www.instagram.com/omiyuno

伊藤 明日香

フォトグラファー

1992年生まれ。現在は福島、東京、母親をテーマとした写真制作を行なっている。
https://www.instagram.com/asukait

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