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Column

2016.07.08

世界の選挙事情

文/大神 崇

絵/大川 久志

今夏から選挙権が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられました。選挙権年齢の引き下げは1945年の終戦直後以来とのことです。7月10日の参議院議員選挙は、選挙権年齢が引き下げられてからの初の大きな選挙になります。若年層の投票率アップを狙い、若者向けのイベントが各所で行われているのを最近よく目にする人は多いのではないでしょうか? 若者の投票率を上げるにはインターネット投票が効果的だと言われており、既に一部の国で実施されていますが、日本ではまだ実現まで至っていません。時代とともに選挙制度も変化していますが、世界ではどうなっているのでしょうか?

まずはEU離脱問題で世界を賑わせているイギリス。投票は平日に開催されることが多く、学校や役所以外にパブやスポーツクラブなどでも投票することができます。また、日本のように選挙カーやポスターによる選挙活動はせず、戸別訪問や集会施設での演説・討論会など、有権者とより近い距離で活動しています。オーストラリアの場合は、正当な理由なく投票しなかった有権者には20豪ドル(約1,500円)の罰金が科せられます。その効果もあって直近の国政選挙の投票率はなんと90%近く。日本では選挙に投票することが国民の権利と認識されていますが、オーストラリアではそれが義務になっている点が異なります。

そんな中、日本とは対照的に若者の投票率が非常に高い国があります。それは北欧のスウェーデン。2014年に行われた総選挙では、30歳以下の若者の投票率は約80%でした。中でも日本との一番の違いは、被選挙権の資格年齢が異なること。日本の場合、現状では、衆議院議員は満25歳以上、参議院議員は満30歳以上ですが、スウェーデンは選挙権と同じ18歳以上。若者の候補者が増えるだけでも、選挙に対する意識は変わりそうですね。

色々な例を挙げてみましたが、選挙の時にだけ若者向けにアピールするのではなく、子供の頃から学校などで継続的に政治について考える機会を増やし、地道な活動を続けていくことが一番大事なのではないかと、個人的には思っています。

大神 崇

ライター/編集者

1984年大阪生まれ。フットボールカルチャーマガジン「SHUKYU Magazine」編集長。原宿のオルタナティブスペースVACANT創設メンバー。企画・編集・執筆など、カルチャーからスポーツまで、ジャンルにとらわれず幅広い活動をしている。
http://takashiogami.com/

大川 久志

イラストレーター

1984年生まれ。兵庫県出身、東京都在住。
http://hisashiokawa.com