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Column

2020.05.05

【特別企画】今あなたにおすすめしたい、この作品。Vol.14

新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、不要不急の外出をひかえている今。こんなときだから、家でゆっくり過ごすときにおすすめの作品を、日ごろ花椿に協力くださっている方々にお伺いしました。

第14回は、NY在住のフォトグラファー、イナ・ジャンさんです。イナさんの創作に欠かせない書籍とドラマをご紹介いただきました。これまでに読んだ本を読み返したり、観たことのあるドラマをみたりすると、新たな発見があるかもしれません。
*English follows

 

 

『Ways of Seeing』(『イメージ 視覚とメディア』)

自分にとって何度でも立ち戻る、いわば教科書のような一冊。自宅に篭っていると、世界はスクリーンを通して「見る」ことになる。そうやって自分がものごとをオンラインで「見ている」あり方について、またこの本が語りかけていたことと現在の状況がどれほど異なるのか、改めて考えている。特にここニューヨークで監禁状態にある今、これまでとまったく異なる新しい視点と、世界中の人々と共有しているこの非常な体験をもって、このような古典的名作を見返す時間が出来たのは特筆すべきこと。

It’s a classic that I always come back to. While we are staying home, we are made to ‘see’ the world on our screens more likely. I re-evaluate the way I ‘see’ things online now and how it may be different what’s suggested in the book as well. Especially during this quarantined life in NY, I find more time to re-visit classics, with the new knowledge and unusual experience we all share now.

『Ways of Seeing』( John Berger)
『イメージ 視覚とメディア』(ジョン・バージャー、伊藤俊治訳、筑摩書房)

 

『the office』(US版)

なぜか、自宅で制作しているときにずっとこのシリーズを付けっぱなしにしていることがよくある。こういった「職場」を経験したことがないせいか、笑い声もキャラクターも、私自身の「オフィス」のホワイトノイズに聞こえる。番組そのものも心の底から面白いのですが、何度見ても新しい気づきや、見ていなかった部分があるのもすごい。

Funny enough, I sometimes have the series on loop when I work at home. As I rarely had an opportunity to work at an office environment, they became a sort of white noise and background characters to my own ‘office’. Not only that I purely enjoyed the show, but I also find new details and theories around characters in several repeated viewings.

© BBC 2001

ドラマ「ジ・オフィス (U.K.)」Huluで配信中
※日本ではイナさんが取り上げたUS版のベースになったUK版オリジナルシリーズがHuluで視聴可能です。

翻訳:深井佐和子

イナ・ジャン

フォトグラファー

1982年韓国生まれ。NY在住。『CR』などのファッション誌をはじめ『The New York Times Magazine』、『the British Journal of Photography』『IMA magazine』に作品を発表。最新作『Radiator Theatre』は2019年にソウルとバルセロナで展覧会を行い、作品集も出版された。
http://www.inaphotography.com/