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Now, Then!

【詩のレッスン#1】気軽に詩を書き始めるには?   詩人の大崎清夏さんがお答えします。

2020.04.21

家で過ごす時間が増え、目に見えない不安に包まれる日々。なんだか心が晴れなかったり、少しストレスが溜まってしまっている人も多いのではないでしょうか。心に沈殿している言葉や感情を身体の内から外に出して、何かを書いてみましょう。ルールのない“詩”を書くとなると気負ってしまう人もいると思いますが、俳句のように短かかったり、日記のようなスタイルだったり、ただシンプルに心に渦巻く言葉を書き留めること、そこからはじめてみませんか。
今回から「今月の詩」の選考委員を務められる詩人の大崎清夏さんに、詩を書くにあたっての素朴な質問やアドバイスにお応えいただきました。参考にしてみてください!

現在、「今月の詩」の公募期間中です。この機会に気軽に応募してみてください!「詩をさがしています。」応募要項

ー今日は、詩を書きたいけどなかなか踏み出せない人に向け、聞きたいけど聞けなかった素朴な質問をさせてください。詩を書くにあたり、本当にルールはないのですか?

はい。音楽やダンスと同様、詩にもきまりはありません。思いつくままに言葉を書き留めてもいいですが、自分でルールをつくるのもまた、短歌や俳句とは違う詩のおもしろさです。どこで改行するのか、しないのか、句読点は打つのか、韻は踏むのか。昔から大勢の詩人たちが、さまざまなルールを創っては壊し創っては壊ししてきました。迷ったら、ソネットなど定型詩のルールに従って書きはじめてみるといいかもしれません。

ー「ちょっとはずかしい…」という自意識を払拭するにはどうしたらいいですか? 読み返すとはずかしかったりしますが…

「詩を書くぞ」と思うから、はずかしいのかもしれません。友達に手紙を書くような気持ちで、もしくはInstagramに上げた写真を目の見えない人に説明するような気持ちで、もしくは料理のレシピを書きとめるような気持ちで書くといいかもしれません。

ーテーマやタイトルはどのように決めていますか?

現代の私たちの多くは日常的に写真を撮ると思いますが、写真を撮るのをぐっとこらえて、言葉で記録する。国語辞典と仲良くなる。使おうとしている言葉の別の意味や古い意味を知る。
私はタイトルをつけるのが苦手なんです。いいタイトルが思いつかない時は、本文のなかからタイトルになりそうな言葉を探します。

『続・伊藤比呂美詩集 』

ー書き出しや締めはどのようにするといいですか?

私もいつも悩んでいます。まずは力を抜いて、自分の普段使っている言葉や心に残っている風景を思い出してみましょう。一行目にはとかく力が入りがちですが、やっぱり「まずは鍋にお湯を湧かします。」くらいの心構えで。締めもやっぱり「お皿に盛って胡椒を振ります。」くらいの気持ちで。

ー詩をたくさん書いていくと、上達するのでしょうか。

上達したい時は、読んだことのない古今東西の詩や文学に触れるとよいです。好きな作品に出会ったら、一度その文体を真似して書いてみる。すると、自然と詩が変わっていくはずです。

ーこれから詩を書く人に一言お願いします。

この春、家にいる時間が増えましたか? 時間は増えたはずなのに、不安のせいでなかなかじっくり芸術に入り込めない(読むのも、観るのも、聞くのも、書くのも……)という人も多いかもしれません(私もそうです)。読めなくても、書けなくても、何もできなくても、焦らずに、一日の終わりに、今日できたことをゆっくり思い返して、深呼吸しましょう。眠る前に言葉が浮かんだときのために、枕元に紙とペンを置いておきましょう。

今、紙とペン、と書きましたが、スマホのメモアプリでももちろん大丈夫です。自分の身体の一部のようにすばやく使える道具がいちばん便利です。

大崎清夏さんおすすめの、詩を書く栄養になる本たち

〇詩集
『続・伊藤比呂美詩集 』(思潮社・現代詩文庫)
『夜明け前のさよなら』中野重治(日本図書センター)
『井伏鱒二全詩集』(岩波文庫)
『対訳 ディキンソン詩集』亀井俊介・編(岩波文庫)

〇その他
小説『聖女伝説』多和田葉子(ちくま文庫)
日記『富士日記』武田百合子(中公文庫)
童話『ムーミン谷の冬』トーベ・ヤンソン、山室静訳(講談社文庫)
童話『世界はまるい」ガートルード・スタイン、みつじまちこ訳(アノニマ・スタジオ)
思想書『ヴェイユの言葉』シモーヌ・ヴェイユ、冨原眞弓訳(みすず書房)

写真/当山礼子

クリエイターの紹介

大崎 清夏

詩人

1982年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。第一詩集『地面』に続く第二詩集『指差すことができない』で中原中也賞受賞。著書に詩集『新しい住みか』(青土社)、絵本『うみの いいもの たからもの』(山口マオ・絵/福音館書店)など。ダンス、音楽、美術など他ジャンルとのコラボレーションを多く手がけるほか、海外現代詩の翻訳・紹介活動も行っている。 (撮影:渡邊聖子)
https://osakisayaka.com/

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