指の下から生えてくる、虫の足。足が動き出すと、自分の指先が虫の一部になり、翻弄されるような感覚が生まれます。そして指先で起きる出来事 ー“食べられていくひらがな” に自然と意識が向かいます。
実はこの「指虫」は、ゲームなどのインタラクティブコンテンツと違い、置かれた指に対してなんの反応もしていません。決まった映像が流れているだけです。しかし、あなたの指を映像の一部とすることで、指先に強く注意が向き、「自分の指先が虫の一部になってしまったかのような」ある種の手応えが生まれるのです。
最後、虫が指の下に引っ込んだ後に、指を離すと、ある変化が起こっています。この変化によって、あなたが映像の中の世界にあたかも「変化をもたらしたか」のような認知が生まれます。
つまりこれは、「ノンインタラクティブな映像」に、ある工夫を加えることで、実際には存在していない「インタラクティブ性」を感じさせるという実験なのです。
指の下の変化を見逃してしまった人は、ぜひもう一度体験してみてください。思わず人差し指の腹に触って、感触をたしかめてしまいたくなるでしょう。
制作協力: ワンパク