
指の下から生えてくる、虫の足。足が動き出すと、自分の指先が虫の一部になり、翻弄されるような感覚が生まれます。そして指先で起きる出来事 ー“食べられていくひらがな” に自然と意識が向かいます。
実はこの「指虫」は、ゲームなどのインタラクティブコンテンツと違い、置かれた指に対してなんの反応もしていません。決まった映像が流れているだけです。しかし、あなたの指を映像の一部とすることで、指先に強く注意が向き、「自分の指先が虫の一部になってしまったかのような」ある種の手応えが生まれるのです。
最後、虫が指の下に引っ込んだ後に、指を離すと、ある変化が起こっています。この変化によって、あなたが映像の中の世界にあたかも「変化をもたらしたか」のような認知が生まれます。
つまりこれは、「ノンインタラクティブな映像」に、ある工夫を加えることで、実際には存在していない「インタラクティブ性」を感じさせるという実験なのです。
指の下の変化を見逃してしまった人は、ぜひもう一度体験してみてください。思わず人差し指の腹に触って、感触をたしかめてしまいたくなるでしょう。
制作協力: ワンパク

ユーフラテス(EUPHRATES)
クリエイティブ・グループ
さまざまな「研究」を基盤として活動しているグループ。研究活動から生まれる表現に根源的な面白さがあるという考えのもと、映像、アニメーション、展示、グラフィックデザイン等の開発に取り組む。近年の活動に、NHK Eテレ『2355』『0655』のディレクション、『ピタゴラスイッチ』の映像制作など。『ウェブ花椿』の「花椿実験室」は石川将也、山本晃士ロバートが主に制作。
http://euphrates.jp/