好評をいただいている連載、「マイ・ゼロ・ストーリー」。
花椿編集室がいま会いたい人にお会いして、その方の現在の活動の原点となった出来事や刺激を受けたこと、そして現在とこれからについてなど、たくさんのことをお聞きします。
第2回のゲストは、俳優の清野菜名さん。
10代で芸能活動をスタートされた清野さん。現在は俳優として、映画やドラマなどのさまざまな作品に幅広い役柄で出演して活躍されています。
現在27歳の清野さんが、これまでの人生における大きな出来事やこれからについて、お話をしてくださいました。
身体を動かし、常に学んで、心身ともに強くなりたい。
身体を使った華麗なアクションを武器にして、幅広い役を演じる俳優の清野菜名さん。自身の原点となる作品を尋ねると、迷わず高校生のときに見た映画『バイオハザード』を挙げてくれた。映画の中で大量のゾンビと闘うアリスを演じる、俳優ミラ・ジョヴォヴィッチの勇敢な姿に魅せられた。清野さんは当時を振り返って言う。
「映画を見た当時、高校生だった私の心にすごく刺さりました。田舎では裸足で外を駆け回るようなのびのびとした日常を暮らしていたのですが、高校生で東京に出て来た時、なかなか体を動かせるような場所もなくてストレスが溜まっていたんです。映画でミラ・ジョヴォヴィッチが赤いキャミソール姿でアクションをする姿を見て、ストレスも発散されましたし、私もそんな強くてカッコいい女性になりたいなと。この映画に出会っていなければいまの自分ではなかったですし、アクションもやっていなかったと思います」
当時から芝居のオーディションは受けていたが、自身の中でどういう俳優になりたいかという目標は明確になってはいなかった。しかし、そこにアクションというキーワードが加わった。アクションを学び、学校にも通いながらオーディションを受ける。しかし、なかなか役には恵まれず、アクションシーンのスタントばかりが回ってきた時期もあった。しかし、とにかく負けず嫌いだという清野さんは、アクションはもちろんだがギターやドラムといった楽器も得意、そうしたさまざまな“技”を手に入れることで自信に繋げていった。
徐々に役に恵まれていき、さまざまな監督や俳優と一緒に現場での経験を積み重ねていった。真面目でストイックな清野さんは、現場からたくさんのことを吸収し、成長していったが、ひとつ忘れられない経験があるという。
「ドラマ『やすらぎの郷』の脚本の倉本聰さんと出会えたことは、私にとって、とても大きな経験でした。とても愛情深い方で、役者とも心で繋がろうとしてくださる。演技や役作りのことも相談しましたし、こんなに自分のことを想ってくださる方がいるんだったら頑張ろうという気持ちになりました。撮影の最後にお手紙をいただいたのですが、そこに『売れているときに勉強すること、それがすべてです』と書かれていて。当時は22歳で、バイトを辞めて俳優として活動し始めた時期。言葉が心に突き刺さって、とても嬉しくて、額に入れて今でも毎日目に留まるところに飾っています」
現在、27歳。アクション俳優としてのキャリアも積み、公開中の映画『キングダム2 遥かなる大地へ』では超絶的な剣技を操るという羌瘣(きょうかい)を見事に演じ、『異動辞令は音楽隊!』では子育てと仕事の間で揺れるヒロインの来島春子を好演した。着実に成長をし続けているように見えるが、本人は「まだまだ自信があるとは言えないですね(笑)。でも、カメラの前に立ったら、それをいったん忘れて全力を発揮しようとは思っています」と言う。これからの人生で挑戦したいことを尋ねた。
「30歳までにハリウッドに行きたい。この夢は変わっていません。その先のことを言うと、アクションは続けていきたいですね。『キングダム2』の撮影でも技術面を磨くことができ、もう少し長くやっていけるなという手応えがあったんです。年齢を重ねると、若い頃のキレや瞬発力は絶対に出せなくなると思うのですが、技術力は着実に上がると思います。技術と経験を活かして、動けなくなるまでアクションは続けたいです」
1本の映画を見て、強い女性に憧れて入った俳優の世界で、ひとつひとつ技術を手に入れて人間としての輝きを増し続ける清野さん。いまの清野さんが考える「強さ」とは?
「憧れるのは、どんな状況でもメンタルが安定している人。私は緊張するタイプで、よく不安になるし、割とネガティブな感情に支配されてしまうことが多いので。身体的にも精神的にも“強い”女性になりたいです」
花椿編集室からのQuestionに、清野菜名さんが答えてくれました
Q . 子供のころの夢は?
Q . 落ち込んでいる人に声をかけるとしたら?
Q . いま、行ってみたい場所は?
Q . 「美」ということばからイメージすることとは?
清野菜名
せいの・なな/愛知県出身。 2007年デビュー。14年『TOKYO TRIBE』でヒロインを演じ、第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。15年には『東京無国籍少女』で映画初主演を務め、第4回ジャパンアクションアワードのベストアクション女優最優秀賞を獲得。近年の主な映画出演作に『今日から俺は!!劇場版』(20年/監督:福田雄一)、『キングダム2 遥かなる大地へ』(22年/監督:佐藤信介)、『異動辞令は音楽隊!』(22年/監督:内田英治)、『耳をすませば』(22年/監督:平川雄一朗)など。
スタイリング:清水奈緒美
ヘアメイク:向井志臣、林佐知子(ともにSHISEIDO)
インタビュー:上條桂子
シャツ¥53,900、パンツ¥53,900/共にTELMA
Tシャツ、シューズ/スタイリスト私物