2月11日 「くしゃくしゃの春」
柔らかな日差しが行き届く、
ぬくもり色の住宅街を歩いていると、
おぼろげな夢を辿っているような心地がする。
くしゃくしゃになった問題用紙に、好きです、と
書かれていたのを思い出した、
恋心を丸めて飾ったみたいな花が咲いていて。
写真家・鈴木親さんが撮影した、何にも揺るがず、みる私たちに静かに力を与えてくれる花と、移ろいゆく自然に思いを馳せ、逡巡しながらも日々を生きる内田紅甘さんが、ささやかに言葉を綴る連載です。