7月30日 「白くて黄色い夜」
眠れない夜にはたまご焼きを作る。
丁寧に、手際良く、
薄く焼けたたまごを慌ただしく丸めていく。
そのうちに、漠然とした不安は遠のいて、
やがてさっぱり消えてしまう。
黄色とは孤独に寄り添う色だ、
と明け方の幻みたいな食卓で思う。
写真家・鈴木親さんが撮影した、何にも揺るがず、みる私たちに静かに力を与えてくれる花と、移ろいゆく自然に思いを馳せ、逡巡しながらも日々を生きる内田紅甘さんが、ささやかに言葉を綴る連載です。桜の記憶から抜け出し、7月最後の日記です。