7月16日 「自存」
与えられたものの中で全てを持っていると
勘違いした子どもみたいに、私は生きてきたのだった。
どこまでも続くまっさらな孤独の上で、
誰一人として私を見守る者はいない。
それでもひとりで立ってみたいと思った、幼い桜の木のように。
写真家・鈴木親さんが撮影した、何にも揺るがず、みる私たちに静かに力を与えてくれる花と、移ろいゆく自然に思いを馳せ、逡巡しながらも日々を生きる内田紅甘さんが、ささやかに言葉を綴る連載です。7月は、愛でる間もなく散ってしまった今年の桜を思い出します。