6月18日 「短夜」
水の中にいるような息苦しさを抱えながら、
安心感と焦燥感の間をたゆたう。私たちがまだひとつだった頃の、
はるか遠い故郷へ思いを馳せる。
午前三時の薄明かり、
姿の見えない鳥たちのさえずりは夜をさっさと終わらせていく。
写真家・鈴木親さんが撮影した、何にも揺るがず、みる私たちに静かに力を与えてくれる花と、移ろいゆく自然に思いを馳せ、逡巡しながらも日々を生きる内田紅甘さんが、ささやかに言葉を綴る連載です。前回に続き、梅雨時期の花、紫陽花です。