6月11日 「縁起」
微睡の中で白々と輝く一軒家を眺めながら、
これが母の叶えたものなのか、とふと思った。
言葉で示される関係は時に、
本当の繋がりよりもはるかに強く私たちを縛り付ける。
目の端で揺れている、
光に色があるなどと知る由もない新緑の瞬き。
写真家・鈴木親さんが撮影した、何にも揺るがず、みる私たちに静かに力を与えてくれる花と、移ろいゆく自然に思いを馳せ、逡巡しながらも日々を生きる内田紅甘さんが、ささやかに言葉を綴る連載です。今回は、梅雨時期の花、紫陽花です。