2020年5月14日 「寄添(よりそい)」
頬を寄せ合う花々のやわらかな囁きを含んで、
春の午後はぬるく漂う。
寒くもなく、暑くもない外気温は、
体を無性に寂しくさせる。
一生わかり合えなくても、手を繋ぐことができるから、
ばらばらな私たちでよかった。
写真家・鈴木親さんが撮影した、何にも揺るがず、みる私たちに静かに力を与えてくれる花と、移ろいゆく自然に思いを馳せ、逡巡しながらも日々を生きる内田紅甘さんが、ささやかに言葉を綴る連載です。