2020年5月7日 「躑躅(つつじ)」
眠れないから早朝の散歩をした。
雨が降っているのに風は生ぬるく、
甘ったるい香りが鮮やかな群れを成していた。
わかられたり慰められたりしないで、
ただ見失ったままでいられる時間は、
ときおり深い理解よりも私の心を救ってくれる。
写真家・鈴木親さんが撮影した、何にも揺るがず、みる私たちに静かに力を与えてくれる花と、移ろいゆく自然に思いを馳せ、逡巡しながらも日々を生きていく内田紅甘さんが、ささやかに言葉を綴る連載です。