先週幕を閉じた2017−18年秋冬NYファッションウィーク。大統領選から続く不安定なムードの中だからか、多くのブランドで“強い”女性像が打ち出されています。そこで、モードのツボを押さえつつもリアルなワードローブに定評ある3.1 フィリップ リムの今季コレクションから、“強いオンナ”像を見ていきましょう。
女性らしいけど甘くない=リム流ニューロマンティック
リムが考える今季の強い女性像を一番分かりやすく表現しているのが、ショーのトップを飾ったホットピンクのコート。オーバーサイズでマスキュリンなシルエットがピンクの甘さをほどよく抑えてくれる。色の効果で明るく柔らかな自然体の女性らしさをにじませながら、同時にきりっとした芯の強さもうかがえる新しいロマンティックなスタイル。
自分らしさを表現するDIYディテール
好みや気分に合わせてカスタマイズするのは、いわば洋服に自分の意志を込めるということ。そんなDIYの精神を今回のコレクションでは様ざまなディテールで表現。まるで裾をざくざくと切ってしまったようなアシンメトリーへムのスカートや、メタルでつまんでドレープを出したドレスなど。あくまで仕上げはキレイに洗練させるのがポイント。
現代アートからのインスピレーション
ランウェイの中心に置かれたのが、向こう側が透けてみえるピンク色のアクリル板。壁も絨毯も全てピンクな空間なので、まるで光のつい立てがあるかのよう。これは光を使った作品で知られるジェームズ・タレルから着想を得たもの。Tシャツやアクセサリーにもタレル風のラウンドシェイプを描いて、現代アートの強いスピリットを身につけて。
塗ったり描いたりで強調しない、素の美しさを引き出す
強い女性のメーク、というと眉を濃くしたり、赤いルージュをひいたりと、とかくどこかにインパクトを込めることが多いもの。でも今回狙ったのはそんな作り込んだ強さではなく、女性それぞれの個性を引き立てること。しっかりと保湿した肌の内から輝くような光沢感が決め手。