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Heart of Fashion

2016.09.21

ニューヨークで見逃せないユースフルなパワー

文/呉 佳子

9月って夏だったかしら? と思うほど、残暑がしぶとく居座っていますね。秋冬ものがクローゼットでスタンバイしているというのに、とてもじゃないけど袖を通す気にはなれません。

そんな東京から脱出! と秋物詰めてニューヨークへ行ってきました。こちらの天気は、、、、、東京に負けず劣らず、暑い!

太陽がジリジリ照りつける中、待てども来ない秋冬を飛び越えて2017年春夏コレクション取材中(と、書いている今はミラノ行きの飛行機に乗っています)。

到着した日の夜はNYで最も注目されるブランドのひとつ、アレキサンダー・ワンのショー。今季はサーファースタイルやビーチガールをインスピレーション源に、パジャマ風ショートパンツや三角ビキニトップ、ウェットスーツ風ドレスを発表した。

さっぱりとしたコットン素材や、白×ライトブルーの縞模様が爽やかで、飾らずくつろいだ雰囲気はワンの出身地、カリフォルニアを思わせる。そこへハードウォッシュの穴開きジーンズやヒョウ柄ジャケット、レザーのミニスカートなどストリート感たっぷりのアイテムを差し込むエッジィさは、当地の若いセレブたちを魅了するワンの持ち味だ。

メークもビーチガール風の気楽でフレッシュな印象。太陽でほんのり灼けた頬を演出するチークを強調すべく、眉はブリーチ、唇も肌色コンシーラーでカラーレスに。何人かのモデルは髪もプラチナブロンドにブリーチされて、70年代のサーファー風に変身した。

Makeup by NARS

こういったショーは大抵時間通りには始まらず、30分押しくらいが通常ですが、今回は予定を30分過ぎた夜の9時半を回ってもなかなか始まらない。どんな大物セレブを待っているのかしらと思っていたら、歌姫マドンナが黒いスウェット上下で登場。ショー終了後に、謎めいたムービーをバックに総勢62名のモデルが全員、マドンナと同じ黒のTシャツで現れて……。そう、サプライズな演出で、ワンとアディダスのコラボレーションが発表されたのでした。ちなみにキャンペーンに登場するのがマドンナの16才の息子、ロッコ・リッチーとのこと。

コレクション ティザームービー

ランウェイの先に隠れていたのはこのコラボ発表を祝うパーティー会場。フードやドリンクを提供するトラックや派手にスプレーペイントされたワゴンカーが設置されていたが、それというのも、コラボ初回の9型の商品はポップアップトラック(移動販売車)が移動しながら販売するのだそう。しかも世界でNY、ロンドン、東京のたった3都市のみ、1日限定売りとのこと(東京は9/17に開催され盛況に終了)。

パーティのようす
NYの限定発売時のようす

こんなゲリラ的な売り方や、ストリート感溢れるコラボ商品のテイスト、ユースカルチャー色の強いコンセプトムービーに、パーティー会場のフードセレクト(マクドナルドやコンビニ菓子)まで、至る所に今どきの若者感覚が光る。今、ファッション界ではパリ、ミラノを中心にユースカルチャーを背景にしたブランドがトレンド牽引力を増していて、相対的にニューヨークの存在感が薄れている印象を持っていましたが、やっぱり見逃せない!!そんな感慨を胸に、時差の関係で9月10日が36時間以上続いていた私の長い1日が終わったのでした。

呉 佳子

ファッションディレクター

資生堂ファッションディレクター
ファッショントレンドの分析研究やトレンド予測を担当。
オンラインサロンcreative SHOWER でナビゲーターを始めました!
まるでシャワーを浴びるかのように、美意識や感性に刺激を与える時間を重ねようというコンセプトです。ご興味のある方はぜひこちらをのぞいてみてください。
https://www.sabfa-salon.fants.jp/