新型コロナウィルスの感染拡大防止のための自粛規制が解かれ、徐々に日常が戻ってきました。しかしまだまだ油断は大敵、できるかぎり慎んだ行動でまわりの人たちの安全を守っていきたいこれからです。引き続き『花椿』ゆかりの方からいただいた、在宅で楽しめるおすすめの作品をご紹介します。
第27回は、現在花椿ウェブでコラム「90s in Hanatsubaki」を連載中の林央子さん。このようなときでも日常から離れずに、日々服つくりを通して発信を続ける山下陽光(やました・ひかる)さんと後藤輝(ごとう・あき)さんをご紹介いただきました。日々生きる、そんなシンプルなメッセージがきこえてくるようです。
服をつくるということは、生活をつくることかもしれない。ロンドンでロックダウンを迎えた私は、二人の服のつくり手の発信に日々、勇気づけられていることを実感している。
一人は、福岡に住む山下陽光さん。著書『バイトやめる学校』や、オンライン販売の服「途中でやめる」などすでにファンも多い山下さんは、Twitterやメールマガジンという手段で日々、今を生きる仲間への発信を欠かさない。毎朝発信されるメールマガジン、そして毎週月曜日に配信される、アーティスト下道基行さんとの「山下道ラジオ 新しい骨董」(コロナウィルスの影響が気になり始めた2020年3月に始動)は新時代の生き方へのヒントが満載で、ロンドンにいて初回から欠かさず聞いている。弱者にやさしく、辛い状況下でともに生きる方策を日々、ひねり出す山下さんは現代のブッダか? という気がする今日このごろ。
もう一人は、自然豊かなNYの郊外に住む後藤輝さん。彼女が触れたものは何であれ、想像力のいぶきを放つ。輝さんの絵画がとても好きで自宅に飾っているけれど、輝さんは生活をつくる、自然化粧品をつくる、野草料理をつくる、そして服もつくる、子どもや家族との日々の瞬間を短編映像作品に結晶させ、発信する。生きることのきらめきが、彼女の痕跡すべてに散らばっている。
二人とも尊敬しているし活動をフォローしている。その一番の原因は彼らの「勇気」だと私は思う。自分の信じる道を探索し、模索し、発信する勇気。変わることを恐れない勇気。そして、彼らの活動に、私も勇気をもらう。以前の常識が通用しなくなったこの時代にあって、「勇気」をシェアしてくれる人の活動ほど、貴重なものはない、と実感する毎日だ。