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Column

2020.05.19

【特別企画】今あなたにおすすめしたい、この作品。Vol.21

新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、不要不急の外出をひかえている今。こんなときだから、家でゆっくり過ごすときにおすすめの作品を、日ごろ花椿に協力くださっている方々にお伺いしました。

第21回は、季刊誌『花椿』のビューティー連載で毎号寄稿をしてくださっている、作家の原田マハさんです。キュレーターとしても活躍している原田マハさんがおすすめするのは、西洋美術史の名著『美術の物語』です。

もう25年も前のこと。アートの仕事に就いていた私は、一念発起して早稲田大学の美術史科に社会人入学を果たし、そのときに本書に出会った。著名な美術史家ゴンブリッチの手ほどきで1万年以上の壮大な美術史の流れを追いかける本書は、随所に著者のアート愛が溢れ、「人間と美術は常に一緒だった」とのメッセージに胸が震える。人類は1万年もの間、どんなことがあってもアートを忘れなかった。だから何があっても大丈夫。そんな気持ちにさせてくれる。人生の宝物のような一冊である。
エルンスト・H・ゴンブリッチ(著) 発行:河出書房新社

原田マハ

作家/キュレーター

1962 年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事株式会社、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2002年フリーのキュレーター、カルチャーライターとなる。05年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、06年作家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞、17年『リーチ先生』で新田次郎文学賞を受賞。ほかの著作に『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『たゆたえども沈まず』『常設展示室』『ロマンシエ』など、アートを題材にした小説を多数発表。画家の足跡を辿った『ゴッホのあしあと』や、アートと美食に巡り会う旅を綴った『フーテンのマハ』など、新書やエッセイも執筆。