新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、不要不急の外出をひかえている今。こんなときだから、家でゆっくり過ごすときにおすすめの作品を、日ごろ花椿に協力くださっている方々にお伺いしました。
第16回は昨年の毎日ファッション大賞 資生堂奨励賞を受賞されたAURALEEのデザイナー、岩井良太さん。豊かな静寂が流れるような装丁で本としての佇まいも美しい、美術家・李禹煥(リ・ウファン)の著作集『余白の芸術』と、刺激的なドキュメンタリー作品2本をご紹介いただきました。
李禹煥 『余白の芸術』
“李禹煥は最も好きなアーティストの一人なのですが、きちんと本を読んだのはこれが初めて。序盤からハッとすることが多く刺激的です。自分の仕事と重ね合わせて考えても、共感したり納得したりする部分があります。言葉はシンプルで短いエッセイのような文章なのですが、じっと考えさせられ、いつも使うところとは別のところの脳みそを使ったような気分で、読み終わると思考をリフレッシュしたような心地良さが。僕にとっては生涯大切にしたい本です!”
映画『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』
"『オンリーゴッド』(2013年)撮影中の映画監督のニコラス・ウィンディング・レフンを、映像作家の奥さんが撮影したドキュメンタリー。かなり狂った映画を撮る人なので、さぞかし我が道を行くタイプなんだろうと思ったら、予想に反して劇中のレフンは周りの評判を気にし、不安で押しつぶされそうになっていて、意外なほど人間らしいのが面白い。ちょっとした奥さんの一言に「うまくいかないと思ってるんだろ!そういう意味だろ!」と勝手に怒って拗ねだし、呆れられたり、「どうせこの映画は売れない。批判される。」と、布団にくるまって言う姿は情けないけど可愛らしくもある。こんなにも共感できるドキュメンタリーは、他にはありません。有名なクリエイターでも、こんなにもがいて作っていると思うとちょっと勇気をもらえました。"
ドキュメンタリー『アグリー・デリシャス』
"食のドキュメンタリーなのですが、ちょっとコミカルな作りで、ホスト役の有名シェフ、デヴィッド・チャンのキャラが庶民的でかわいらしく見ていて明るくなります。移民で構成された国、アメリカらしく、各地のソウルフードを紹介する回が多く、食を通じてアメリカの社会や文化を学べるのが面白いところ。アフリカン・アメリカンとフライドチキンの関係など、この番組で初めて知ったこともあります。有名なレストランからドミノピザのようなチェーン店までフラットに紹介している所も好印象! シーズン2の子育て中のシェフに色々話しを聞く回は、気持ちがあたたかくなる、特に好きなエピソードです。"