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Column

2017.03.24

東京を描く

文/大神 崇

この季節になると、進学や就職など、人生の新たなシーンで東京にやってくる人は多い。そんな自分も東京に来て10年が経つ。その間に様々な場所に行った気がするが、それでも東京についてまだまだ知らないことだらけだ。

TOO MUCH MagazineとLA在住のファッションフォトグラファー、Ami Sioux(エイミー・スー)による写真集『AMI SIOUX TOKYO 35°N』は、彼女と関わりのある東京在住の50人のアーティスト、写真家、ファッションデザイナーなどにお気に入りの場所を手描きの地図で表現してもらうところから始まる、東京を知るための新しい切り口のガイドブックだ。今回はこのプロジェクトについて、彼女にいくつか質問を投げかけてみた。

画像すべてAmi Sioux著『AMI SIOUX TOKYO 35°N』より

—なぜ、このプロジェクトを始めたのでしょうか?

きっかけは2000年です。当時、私はベルリンに住んでいて、友達の多くはアーティストでした。友達のスタジオへ行くために、よく手描きの地図を渡されていたのですが、ある時にその地図の描き方がそれぞれのポートレートになっていることに気付きました。そこで私は、彼らにそれぞれの好きな場所を考えてもらい、そこへ行くための地図を描いてもらうことからこのプロジェクトを始めました。そして、私は地図に導かれた場所にたどり着くと、写真を撮ることにしたのです。数年かけて『REYKIAVIK 64°N』と『PARIS 49°N』をリリースしました。そして今回、TOO MUCH Magazineと『TOKYO 35°N』をリリースすることになりました。

—東京で大切な場所とその理由を教えていただけますか?

東京に向かうハイウェイです。レインボーブリッジを渡ってビルの間を駆け抜けていると、いつも東京に戻ってきたという感情が湧いてきます。あと、屋根の上や高いビルもいいですね。

—あなたにとって、東京はどのような街ですか?

東京は私にとって、パリでの生活の延長です。私は歩ける都市が好きで、東京もそうした都市です。みんな歩いていますよね。それと、フランスの文化と同じように素晴らしい味覚がある東京は、とてもパリの感覚に似ている都市です。14年間フランスに住んで、東京でも長い時間を過ごしており、どちらも私に深く影響を与えています。

この本に登場するのは、誰もが知る場所から極めて個人的な場所まで、50人の様々な物語だ。このプロジェクトは、都市を考察する一つの手段であり、東京という街の多様性を浮き彫りにするものだろう。クリエイターたちの物語をたどりながら、まだ見ぬ東京の新しい魅力を探してみてはどうだろうか?

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大神 崇

ライター/編集者

1984年大阪生まれ。フットボールカルチャーマガジン「SHUKYU Magazine」編集長。原宿のオルタナティブスペースVACANT創設メンバー。企画・編集・執筆など、カルチャーからスポーツまで、ジャンルにとらわれず幅広い活動をしている。
http://takashiogami.com/