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今月の詩

2018.07.03

夜にコーラキャンディ

詩/はるのかまぼこ

かばんの底にいたコーラキャンディ

ちゃいろい楕円のぺかぺか

ぽいと放りこんで

甘さに泣きたくなる

わたしに甘いのは世界中でこの一粒だけみたいな気分

涙がでなくて思いだす

これは新宿で、わざわざ並んだ抽選で、
色のついてない玉と引き換えにもらった
はずれという箱から連れてきたキャンディ

シュワともしない、ひらっぺたい甘さを転がして

歯磨きしてからちゃんと眠ろう

     

      

選評/高橋源一郎

わたしたちのかばんの底にある「ちゃいろい楕円のぺかぺか」たちについて

それらは、たとえば、わたしたちの「かばんの底」にある。それから、わたしたちの「ポケットの中」にもある。それに、わたしたちの「机の引き出しの中」にもある。だから、それらは、ふだん、わたしたちは目にすることができない。しかも、もともとは、わたしたちが何らかの手段で手にいれようと欲したはずなのに、である。それらのものを、わたしたちはすっかり忘れてしまった。他のあらゆる、一度は欲して、手に入れようとしたものすべてと同じように。詳しくは、はるのかまぼこさんの詩を読んでください。そこにぜんぶ書いてあります。